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編集部だより

プチ連載企画〜編集者のひみつ道具をご紹介!その2

「ひみつ道具」ときくと、それだけでわくわくします。突如流れる軽快な音楽、はんぺんみたいなポケットから取り出される道具たち……。コロナ禍で遠くに出かけることがめっきりなくなってしまったので、いまいちばん使ってみたいのは「どこでもドア」です。
 
 さて、編集者のひみつ道具……ときいて、いちばんに思いついたのはこれ、マイクロスコープです。
 
 
 シルバーとブラックでメカっぽい感じ、ちょっと昔のカメラみたいな配色でもあり、たまりません。ペン型ルーペ、ということになるみたいです。
 
 この編集部だよりでもたびたび登場する色校紙。
 色校とは、印刷するときの色味をチェックする、本づくりにおいてとても大切な作業です。
 
 絵本をつくる場合、本のレイアウトが決定したら印刷所に入稿して、色校正が出てくるのを待ちます。1週間弱で出てくることがおおいのですが、それを絵描きさん、デザイナーさんといっしょに確認するにあたって役に立つのがこのマイクロスコープ。
 
 どこかでいちどは聞いたことがあるかもしれませんが、印刷物はたいてい、CMYKという4つの色のインクのつぶでできています。Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはスミです。
 
 この4色のつぶが重なったり隣り合ったりすることで、さまざまな色を表現することができるのです……って、よく考えるとほんとすごい技術です。
 
 色校を見るときは、原画と見比べながら「もうちょっと赤みおさえる」とか「黄緑というより青緑の方向に」とかいろいろな赤字を校正紙に書き込んでいきます。僕はこの作業がいちばん好きなのですが、そのときに色のつぶがどうなっているかを確認するためにこのマイクロスコープを使うのです!
 
 では実際に見てみましょう。
 こちらは昨年11月に刊行した『ダーラナのひ』の校正紙。マイクロスコープでのぞいてみると……。
 

こうやって縦にしてのぞきます

のぞくとこんなかんじ!

 
 色のつぶが重なりあっています。この色のつぶのことを「網点」といって、網点の大きさや粒の配置のかたちがちがうと、印刷物の見え方もちがってきます。この網点のかたちにも、いろいろ種類があって……。このあたりは奥がふかいので、またべつのときにご紹介しますね。
 
 ちなみに『ダーラナのひ』では、デザイナーの漆原悠一さんのアイデアでM(マゼンタ)のインクに蛍光ピンクをまぜています。そうすることで、原画のぱきっとした色が出やすくなるのだとか。そのおかげで、原画を見たときの感動に近い、きれいな夕日の場面になりました。ぜひ本で見てみてください!
 
 もうひとつののぞいてみましょう。昨年5月に刊行した『あしたもオカピ』です。
 

ピンクや水色、それに紺色やこげ茶色っぽいところも見えますね

のぞくとこんなかんじ!

 
 『あしたもオカピ』は絵本ではなく、幼年童話です。文字がメインとなるので、一般的には、文字を印刷するためのK(スミ)と、差し色に特色インクをつかった2色、もしくは本の一部だけ4色で印刷する、ということがおおいのですが––––デザイナーの名久井直子さんのアイデアで、ピンク色の特色とブルーの特色の2色で印刷しているのです。
 
 ということは、文字はどうなっているの? とおもったあなた、するどい! じつは、このピンクとブルーをぴったりおなじところにかさねて印刷することで、茶色っぽいこの本文の色ができているのです。
 
 ふたつの版がぴったりとそろわないと、互いのインクが文字からはみ出してしまいます。そこは印刷所の腕の見せどころ。この工夫によって、素朴でちょっぴりなつかしい、海外の絵本のような独特の風合いが出ているのです。うーん、たまらん!
 
 マイクロスコープを使ってみると、印刷物のことをよりふかく知ることができます。探偵のもつルーペのようにして、家のなかにある本をのぞいてみるのもたのしいですよ。
 
 
(編集部・丸本)

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本を閉じればコンパクトに片付けられて、本を開くと立体的に細かい家具や食べ物など、子どもが楽しく遊べるし、見た目もかわいくて気に入っています。自宅で遊んだり、帰省する時に持って行けば、玩具がない実家でも遊ぶことができるのでこのコンパクトさに助かっています。(6歳・お母さまより)

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