ファンタジーの金字塔『精霊の守り人』が出版されたのは1996年のことでした。
その後、四半世紀にわたり、アニメやドラマなど、さまざまな形になって多くの方がその物語を楽しんできました。2023年夏に、新たに舞台化もされるのを記念して、これまでの「守り人」を振り返ってみたいと思います。あなたの「守り人」との出会いは、どれでしょうか？ もしかして、この記事で初めて知る人もいるかもしれません。
この夏、読みたい観たい聞きたい「守り人」を見つけてみてください。
「守り人」シリーズ（全13巻）
1996年の『精霊の守り人』刊行から、2018年の『風と行く者』まで13巻にわたり、書かれてきたシリーズです。作家・上橋菜穂子さんの代表作のひとつであり、小学生から80代の方まで、幅広く多くの方に読まれています。
装画・挿絵は二木真希子さん、佐竹美保さんです。二木真希子さんは、スタジオジブリの作品に参加したアニメーターでもあり、バルサの動きを見事にあらわした躍動感あふれるイラストは必見です。佐竹美保さんは、多くのファンタジー、SF作品のイラストを手がけていて、チャグムが旅する異国の風景を物語性豊かに描いています。
軽装版・電子版も刊行されています。
詳しく知りたい方は特集記事へどうぞ！
Kaisei web 今週のおすすめ
まずは2巻まで読んで！ ファンタジーの金字塔・上橋菜穂子「守り人」シリーズ
ラジオドラマ
2006年にNHK-FM・青春アドベンチャーで「精霊の守り人」(全10回) 、2007年は同番組で「闇の守り人」(全10回）がラジオドラマになっています。
NHKオーディオドラマ 過去作品アーカイブ
https://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2016003.html
アニメ
2007年に「精霊の守り人」（全26話）としてNHK-BS2で放送されました。監督は、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」などで知られる神山健治さん、アニメーション制作はプロダクションI.Gです。
アニメで「守り人」を知った方も多いのではないでしょうか。
必見は、第3話「死闘」（個人の趣味です）。バルサと狩人の闘いを、アニメーションで描くとこうなるのか！ という驚きのアクションが連続します。またオリジナルエピソードでは、登場人物を深く掘り下げていて、見応え十分です。
DVD、Blu-rayが発売中で、配信でも観られます。
NHKアニメワールド 精霊の守り人
https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=moribito
コミック
2007年にアニメ版を藤原カムイさんがコミカライズした『精霊の守り人』(ガンガンコミックス、のちに朝日コミック文庫) 、2015年に原作から結布さんがコミカライズした『闇の守り人』（Nemuki+コミックス）が刊行されました。
藤原カムイさんの異界ナユグの描写の臨場感、結布さんの描くバルサの故郷カンバル王国の厳しくも美しい山々など、それぞれの漫画家さんの表現や、物語をどう描くのかにも注目です。
朝日コミック文庫版『精霊の守り人』
海外翻訳版
『精霊の守り人』は世界各国で翻訳出版されており現在10カ国語、14の国と地域で刊行されています。
2008年に刊行された平野キャシーさん翻訳の英語版『精霊の守り人』は、アメリカ図書館協会バチェルダー賞を受賞、英語版『闇の守り人』もバチェルダー賞オナーに選出されました。
英語版『精霊の守り人』
さまざまな表紙の翻訳版『精霊の守り人』はこちらから見られます。
「守り人」シリーズ公式サイト もっと「守り人」
https://www.kaiseisha.co.jp/special/moribito/related/
翻訳家・平野キャシーさんと上橋菜穂子さんの翻訳についての対談は、下記の書籍に収録されています。
ドラマ
2016年～2018年に放送された、NHK放送90年を記念した実写ドラマです。大河ファンタジーと銘打ち、主演のバルサ役に綾瀬はるかさんを迎え、シリーズ第1作の『精霊の守り人』から『炎路を行く者』まで12巻の内容を、3シーズンにわたり、全22回で放送しました。
ドラマで、「守り人」を知った方も多いのではないでしょうか。
俳優さん達が演じることで深みを増す人間ドラマと、キレのあるアクションの数々、また、異なる文化、気候、地理の国々をどのようなヴィジュアルで表現するか、細部にこだわった美術もぜひ観てほしいところです。
DVD、Blu-rayが発売中で、配信でも観られます。
NHKアーカイブス NHK放送90年大河ファンタジー 精霊の守り人
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009050444_00000
ドラマの美術を手がけた山口類児さんと上橋菜穂子さんの対談は下記の書籍に収録されています。
オーディオブック
2023年から耳で聴く本オーディオブックとして『精霊の守り人』が配信中です。
ナレーションの大森ゆきさんの落ち着いた声は物語にぴったり！ 運転中や、作業しながらでも、楽しめます。
今後、シリーズすべてがオーディオブックになる予定です。
Audible「精霊の守り人」
https://www.audible.co.jp/pd/B0BQ8Z1ZHT
舞台（音楽劇）
そして2023年7月、日生劇場開場６０周年記念 音楽劇「精霊の守り人」が開幕します。バルサ役は明日海りおさんと梅田彩佳さんのダブルキャスト。音楽劇ということで、バルサやチャグムが歌います。楽しみですね！
東京の日生劇場公演ほか、地方公演もあり、また、期間限定で舞台映像のアーカイブ配信も決定しました！
詳しくは、音楽劇「精霊の守り人」特設ページをご覧ください。
音楽劇「精霊の守り人」特設ページ
https://moribito.nissaytheatre.or.jp
上橋菜穂子さんが書いた物語から芽吹き、さまざまな形になってきた「守り人」作品群、表現の方法は異なりますが、そのどれもがバルサとチャグム、そしてふたりを取り巻く人々と世界の物語です。
ぜひ、この夏いろいろな「守り人」の世界にひたってみてください。
（編集部 Ｓ）
