icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

編集部だより

​​なんと「円筒分水」の絵本です

みなさん、こんにちは。桜もいいですがそのあとの新緑はもっといいですね。葉裏が風にゆれて銀色に輝きます。
なんて、時候のごあいさつを述べているうちに、もうあじさいが咲いておりました。どんどん時は過ぎてゆきます。
 
さて、とつぜんですがみなさん、こちら、なにかわかりますか。
なんでしょねこれは。流れるプール? 公園の噴水? それとも野外アート?
 

まわりの田んぼに水をくばります

 
これは円筒分水という、田んぼや畑に水を送る農業施設です。用水路から引いた水を、まんなかの円筒型のしかけからあふれさせることで、自然の力だけで公平に水を配ることができるすぐれものです。昭和になって日本で発明されました。円筒部分からはどの方向へも同じ量の水がふきだすので、平等にわけられる、という仕組みです。
 
 
 
今回は、この円筒分水をいくつかご紹介します。
まずはじめに紹介したのは、茨城県筑西市の伊讃美ヶ原土地改良区円筒分水工です。なにやらごっつい名前ですが「円筒分水」と入ってますね。
 
すごい迫力。
水が中心の円筒部からもりあがるように噴出して、まわりにあふれだしています。そして、そこから決まった配分で3つの用水路に水が流れていきます。
 
つづきましてはこちら。ちょっと年季が入っている雰囲気です。
 

うっかり水がでていない日に行ってしまった。とっても静かな農業地帯にあります。

 
こちらは埼玉県の寄居にある円筒分水です。水がでていませんね。でもそのぶん、そのつくりがよくわかります。こちらは2kmほどはなれた円良田湖から地下の導水管をとおってここで吹き出すしくみです。吹き出すとどうなるか。こちらをご覧ください!
 
おお、ふきだしてますねえ。円良田湖が山の上にあるので高低差が大きいぶん勢いよくでています。
 
お次はこちら。これまでとちがってかなり巨大な円筒分水です。神奈川県相模原市の下九沢分水池です。
 

ものすごい規模が大きい円筒分水。

 
ここは田畑に配るためではなく、川崎や横浜へ送る飲み水などを送るための施設だそう。これは販売部のKさんが「行ってみたい!」と、写真をとってきてくれました。
 
今回なぜ円筒分水をご紹介したかと申しますと、そう、この5月にでるかじりみな子さんの新刊絵本『どうぶつみずそうどう』は、この円筒分水をテーマにした作品なのです。
 

主人公はトウキョウダルマガエルのとうきち

 
ダルマガエルのとうきちは、仲間とともに大川から用水路をひいて、米作りをしています。
でもとなり村のいたちのおりょうやモクズガニのもくずは、自分のところまで水がこないので、おもしろくありません。勝手に用水路をつけかえ、堰もこわしてしまいます。さらには追いうちをかけるように雨不足に見舞われ、新しい村もできてさらに水が必要になるなど、水をめぐる争いがたえませんでした。「なんとかならねえものか……」と思いなやむとうきちでしたが、あるとき穴のあいたおけから水がこぼれだすのを見て、ひとつのアイデアを思いつきます。
 
「これならもめずにすむでねえか!」
 

とうきちのひらめき三秒まえの図

 
さあそれはどんなものだったのでしょう。そしてそれはまわりの村を救うのでしょうか––––。
もうおわかりですよね。そう、『どうぶつみずそうどう』は円筒分水のできるまでを、動物たちの騒動を通して描いた作品です。
 

川崎市久地の円筒分水。今回の絵本のモデル円筒分水のひとつです。いまは役目を終え憩いの場に。撮影:かじりみな子


 
円筒分水をテーマにした絵本は、これまでにありませんでした(たぶん)。『ゆきがふるまえに』『しおかぜにのって』など、うさぎのラビッタちゃんシリーズの作者、かじりみな子さんによる円筒分水絵本、どうぞお楽しみに!
 
(編集部 藤田)

この記事に出てきた本

バックナンバー

今日の1さつ

推理小説で、怪奇小説で、歴史小説。なんて贅沢な一冊!そしてどの分野においても大満足のため息レベル。一気に読んでしまって、今から次回作を楽しみにしてしまってます。捨松、ヘンリー・フォールズなど実在の人物たちに興味が湧いて好奇心が刺激されています。何よりイカルをはじめとするキャラにまた会いたい!!(読者の方より)

pickup

new!新しい記事を読む