icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

今週のおすすめ

まずは2巻まで読んで! ファンタジーの金字塔・上橋菜穂子「守り人」シリーズ

際アンデルセン賞受賞作家・上橋菜穂子さんの代表作「守り人」シリーズ(上橋菜穂子 作/二木真希子・佐竹美保 絵)。一度は耳にしたことがあるでしょうか。本作は、10巻+外伝3巻からなる長編シリーズです。長い、と思うかもしれませんが、一度その世界に入ると最後は読み終わるのがもったいないと感じるほどに、濃厚な世界が広がります。文化人類学者ある作者が描く、多様な文化を持つ人々が生きる「地に足のついた」世界観と、熱い人間ドラマは、読者の「ファンタジー」のイメージを覆すことでしょう。

第1巻「精霊の守り人」のあらすじ

 台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界。
 

 腕ききの女用心棒・バルサは、ある日、川におちた新ヨゴ皇国の幼い第二皇子・チャグムを助けます。チャグムは、その身に得体の知れない“おそろしいモノ”を宿したため、「威信に傷がつく」ことをおそれる父、帝によって暗殺されそうになっていたのです。

 チャグムの母・二ノ妃から、チャグムを守るよう依頼を受けたバルサは、幼なじみの薬草師・タンダの元へ身を寄せるのですが……ふたりは、タンダとその師である呪術師のトロガイから、驚くべきことを告げられます。チャグムに宿ったのは、異界の水の精霊の「卵」であること、孵化まで守らないと大干ばつがおこること、さらに、異界の魔物がその「卵」をねらってやってくること。
 
 実の父がはなつ追っ手、そして神出鬼没の異界の魔物この2つの危機から、命がけでチャグムを守るバルサが描かれます。

まずは、第2巻まで読むべし!

 ここまで読んで、精霊? 異界? うーん、「ファンタジー」苦手なんだよな……と思った方も、ちょっと待ってください。「守り人」シリーズはまず、第2巻『闇の守り人』まで読むことを全力でおすすめします。

 第2巻『闇の守り人』では、バルサが故郷であるカンバル王国へもどります。バルサの過去––––なぜ幼くして国を出て、女用心棒として生きることになったのか––––が明かされ、一見無敵と思われる人物の根底にある悲しみも描かれることで、シリーズに一層深みをもたらす巻です。いまは亡き両親のこと、バルサを連れて国をでた「育ての親」でありバルサが絶対な信頼をおく「短槍の師」ジグロへ秘めた後ろめたさ……。愛憎がともにある、多面的で複雑な感情の描写には、大人も心を揺さぶられることでしょう。
 
 ここまで読んでこの物語が気に入れば、あとはもう刊行順に読み進めるだけ! その後は、バルサを中心にした「守り人」、チャグムを中心にした「旅人」(『虚空の旅人』『蒼路の旅人)の物語展開されます。まずは本編の最終巻『天と地の守り人まで、順番に読むことをおすすめします。
 
 バルサは用心棒の仕事をつづけるなかで、たびたび計り知れない異界の力に翻弄されます。一方、予想外の運命で「外の世界」を垣間みたチャグムは、その経験値を活かしながら、皇太子となり、成長していきます。やがて、自国を南の帝国の侵略から守るために、これまで誰もなしえなかった隣国との同盟を結ぶべく、奔走していくことに。
 
 最終章では、2人は守る」「守られる」関係とまた違う形で、ふたたび行動をともにします

ふたりが旅路で訪れる国々の、多様な風土と文化

 読者は、シリーズを読みすすめるなかで、バルサ(ときどきチャグム)といっしょ用心棒という仕事の宿命でもある「旅」をしながら、舞台となる5つの国を横断していきます。国の成り立ちや歴史、政治、商業、伝承、食文化に至るまで、各国の特長がまるで本当にその国が存在するかのように描かれます。

守り人の世界地図 ©二木真希子

 例えば……チャグムの国「新ヨゴ皇国」は、三方を海に囲まれ、北をけわしい山脈に守られている、いわば「外から攻めにくい」地形にあります。<天道>を信仰し、帝は<天ノ神>の加護をうけた天子と見なされています。
 
 その北に位置するバルサの出身地「カンバル王国」は、国土の大半が山脈で、穀物の収穫量が乏しい。そのため、約20年に一度、地下の国を支配する<山の王>からカンバル王へ、友好のあかしとして贈られる希少な宝石ルイシャが、貴重な財源となっています。
 
 北の大陸にはほかに、強力な騎馬隊をもつ草原の国ロタ王国」数百の島を支配する海洋国家「サンガル王国」があります。
 
 そして、海を挟んで南の大陸に広がる「タルシュ帝国」は、北の大陸の国々にとって最大の脅威です。周囲の国々を次々と征服し、<枝国>とよんでたくみに支配するこのタルシュの手が、新ヨゴ、カンバルなどがある北の大陸にも及びはじめることが、シリーズ後半で描かれていきます。
 
 それぞれの国のバラエティに富む設定もおもしろいですし、政権争いや、国内の格差、少数民族への差別など、現代に通じる問題が描かれるところも、本シリーズの読みどころの1つです。
 
 バルサは、国から国へ旅を続けるなかで、たびたび人間と人間の争いや、一筋縄ではいかない異界の力に直面しますが……とにかく彼女は強い! 身体的にも、精神的にも、とにかく強くてかっこいい女性です。最後までバルサと一緒に旅することが出来ますので、どうぞ安心して読みすすめてください。

特設サイトもどうぞ

「守り人」シリーズは、特設サイトも公開しています。人物相関図や、登場人物辞典など、読みすすめる中で役立つ情報が満載です。
 
 なかでも、未読の方におすすめしたいのは、「シリーズ紹介」のページ。スタッフが本シリーズを読み込んで選びぬいた、各巻の「かっこいい名言」を掲載しています。短い一言ですが、その背景にある、壮大なドラマを想像することができます。ぜひ本編で確かめてみてください!
 

この記事に出てきた本

関連記事

バックナンバー

今日の1さつ

小学校6年生のときに、「十一月の扉」を読んで以来、高楼さんの本が大好きです。「街角には物語が…」も、読んでいてとても心があたたかくなりました。高楼さんの物語の世界は、小さい頃から私の憧れている世界そのもので、本当に大好きです!!(17歳)

pickup

new!新しい記事を読む