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書評コーナー

ページをめくる手がとまらない!本と図書館をめぐる謎『図書館とねことゆうれいと』(向井和美・評)

2026.05.29

 本が好き、図書館が好き、そして読書会が好きなわたしにとって、たまらなく魅力的な作品だった。

 物語は3つの視点から語られていく。小学5年生の少年エヴァンと、町の図書館で司書補として働いていた女性アル。そして、ねこのモーティマーだ。
 ある日、町の広場に「青空ミニ図書館」があらわれる。そこには40冊ほどの本が並べられ、こんな添え書きがあった。「本の持ちかえり自由。本の持ちこみも自由。気軽にどうぞ」。かたわらには、ミニ図書館を守るようにねこが寝そべっている。
 エヴァンはそこから本を2冊もらって帰った。そのうちの1冊、テープで補強された本の貸し出しカードには、父さんの名前があった。父さんもこの町で生まれ育ったのだ。しかし、その本を見た父さんはなぜか、そそくさと地下の仕事部屋へと逃げていった。そしてもう1冊の『ミステリー小説の書き方』という本の貸し出しカードには、有名作家の名前が書かれ、1枚のポラロイド写真がはさまっていた。返却日はなぜか2冊とも、1999年の同じ日付だ。いったいどういうことだろう。謎をとこうとして、エヴァンは親友とともに調査に乗りだす。ここまでくれば、もうページをめくる手がとまらない。

 すると、ミニ図書館にあった本は、以前マーチンビル図書館が所蔵していたものだとわかった。図書館は20年前に火事で焼けてしまい、残ったのは返本用ワゴンひとつだけ。そのワゴンには火事の日にたまたま返却された本がつまれていたのだ。町の歴史館には、司書のスコギンさんと、利用者だった男性、そして司書補だったアルがゆうれいとして暮らしている。
 子どものときから本が大好きだったアルは、両親を知らず、養護施設で育った。図書館で働いていたときは、スコギンさんが母親のように指導してくれていた。アルがスコギンさんから言われた言葉。「新しい本を読むと、自分の頭のなかに新しい部屋ができるのよ」
 アルが図書館で始めた読書会。参加者は本好きばかりだった。といっても、それは難しい本を読みこなせる人という意味ではない。アルは言う。「『真の本好き』とは、本からなにかを感じられる人たちなのです」。読書会の日、話し合いの輪には入らず、すぐそばで聴いているだけの少年がいた。輪に入らなくても、じっと耳を傾けているのがアルにはわかった。
 読書会ではいろいろな意見が出る。なかには、アルの紹介した本がたいくつだったという人もいた。「自分の好きな本をみんなが好きになってくれなくても、かまいません。人にはそれぞれ特別な本があり、それが完全におなじということはないし、おなじである必要もないのです」
 そしてこのあと、わたしの大好きな場面が訪れる。聴いているだけだった少年が、読書会でアルの紹介していたまさにその本を返却しにくる。そうしてカウンターでアルをまっすぐ見つめて告げるのだ。「たいくつじゃ、なかったです」と。アルは必死で涙をおさえる。「真の本好きが、みんながみんな、読書会に参加したがるわけではないのです。わずかな言葉をかわすだけ、あるいは、まったく言葉をつかわなくても、本をわかちあうことはできるのです」

 さて、エヴァンは本と図書館をめぐる謎をとくことができただろうか。貸し出しカードに有名作家の名前が書かれていたのはなぜか。この件に関して、父さんがなにも話そうとしないのはなぜか。あの内気な少年はどうなったのか。そして、町の図書館が火事になったのはなぜか。エヴァンと親友による熱心な調査のおかげで、そのすべてがつながっていく。
 この小説では、貸し出しカードが重要な役割を果たしているが、多くの図書館がコンピュータ化された今では、知らない人も多いだろう。1冊の本はさまざまな人に借りられていく。カードには借りた人たちの名前が記録されていた。それは多くの人に読まれ、愛された記録だ。「本は読者に読まれることで力をもらう」のである。

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2026.05.30

いつもおもしろいです!!おもしろくて、みんなにすすめるとみんな銭天堂にはまっています!!廣嶋玲子さん、jyajyaさんがんばってください。おうえんしています!!(10歳・女の子)

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