こんにちは。偕成社編集部「走り」担当の藤田です。自然のなかを走ると、風の香りに春を実感します。
さて今回は、絵本作りの舞台裏をご紹介。作品は、3月中旬刊行予定の『わかくさのおかで』(かじりみな子 作)です。
前作『ゆきがふるまえに』では、はじめてのお使いに出かけたうさぎのラビッタちゃんですが、今回は春になったので家族でピクニックへ! まずはかじりさんにラフをいただきます。はじめていただいたのが2017年2月です。
えんぴつのラフです。線で描かれるので情報量も多いですね。
えんぴつによる下書きは、いわば絵本の「設計図」です。ここでじゅうぶんに話しあってから、本番の絵に入っていただきます。
こちらは作者のかじりみな子さん。絵ができたのでお会いして原画をおあずかり! これは2018年9月。ラフから1年半以上かかっていますね。
原画を目のまえにすると、毎回その迫力にたじろいでしまいます。
「こ、これ、自分の手で描いたんですか! この世にもともとあったのではなくて!」と。絵を描く、って人類のおどろくべき「発明」ですよね。
これを取り込んでデータにした画像の上に、かじりさんの文章を置いていきます。これは私がパソコンでやります。
そうして完成したデータを、印刷所さんに渡して、まずは試し刷り。色校正といいます。きちんと色が出るか、本番の紙で確かめるんですね。さかさまのページもありますが、これを折ると天地ただしくなります。
とちゅう、デザイナーの城所潤さんにも原画と色校正を見てもらいます。足しすぎない、引きすぎない、まさに絶妙の装丁をなさってくださいます。お会いすると3:7ぐらいの割合でマラソンの話をしています。どちらが3かはナイショ。
上の原画にあるラビッタちゃんのランチは、じっさいにかじりさんが作ってみたそうです。コチラ。
おおー再現度高い。さすがうさぎの食事、にんじんが固そうですね。
もうひとつ余談ですが、ラビッタちゃんは2003年にかじりさんが私家版としてつくった絵本が元になっています。いまよりも素朴で野生感ありますね。
さて、さきほどの色校正で問題がなければ、印刷所で本番の印刷に入り、刷った紙を製本所さんで本にします。
今回はくわしく紹介しませんが、この工場での工程も、職人さんの世界でとっても興味ぶかいんです。また機会をみてご紹介します。
さあ、ここで本来なら「本になりました!」と、見本とともにニッコリ写真、といきたいところですが、今回はまだ本ができていません。なんとアツアツの記事でしょうか。
表紙はコチラ。
3月半ばの刊行です。ラフをスタートしてから、2年とひと月で完成しました!(する予定!)
なお3月21日(木祝)〜31日(日)に東京・東久留米市のブックセンター滝山さんにて原画展もひらかれますので、お近くにいらっしゃる機会があれば、のぞいてみてくださいね。24日(日)にはかじりさんのトークとサイン会もやりますので、ぜひ!
そうそう、かじりさんは今月、ラビッタちゃん続編の取材で網走の流氷を見にいったそうです(写っているのはかじりさん)。こちらも楽しみにお待ちください!