みなさんは、骨董と聞いて、どんなものを思い浮かべますか? それが、骨董です。でも、骨董にはひとつひとつ、歴史が秘められているのです。
今回ご紹介する読み物、「銀杏堂」シリーズ(橘 春香 作・絵)は、が舞台のお話。学校の帰り道にある骨董屋「銀杏堂」に心ひかれた小学生のレンちゃんは、その店の主人・高田さんから、店にならぶ骨董品にまつわるお話を聞かせてもらうようになります。
この本の主人公は、。通学路にある骨董屋「にずっとレンちゃんは、あるとき勇気を出して店に踏み入れて以来学校の帰りに
もう一人の主人公は、このお店の女主人、高田さんです。珍しい骨董を手に入れるためなら、どんな苦労もいとわない、かっこいいおばあさんです。
1作目『銀杏堂』より、高田さんが作りすぎたぼたもちを食べる2人。一緒にお茶を楽しむこともある、仲良しのレンちゃんと高田さんです。
銀杏堂の並ぶ骨董品。そのひとつひとつに、物語がある!
銀杏堂に並ぶ骨董にはどれも、ハラハラする冒険物語や夢のような不思議な物語など、さまざまな物語がかくれています。高田さんはレンちゃんがお店にきて骨董を手にするたび、それにまつわるすてきな物語を聞かせてくれるのです。
ここでは1作目『銀杏堂』から、2つのお話を抜き出してご紹介します。
まずは「にしきごいのうろこ」。ある時レンちゃんがお店で見つけたのは、レンちゃんの顔よりもずっとずっと大きく、軽くて薄くていろんな色に光る、1枚のうろこでした。1枚でそんなに大きいのですから、その持ち主だった魚は、どんなに大きかったことでしょう。
ちょっと怖くなったレンちゃんに、高田さんはびっくりする話を聞かせてくれました。なんとそれは、高田さんが昔、レンちゃんよりもずっと小さかった頃に、とてつもなく大きなにしきごいと戦って手に入れたものだというのです! いったいその戦いとは、どんなものだったのでしょう?
もうひとつは、「サバンナの逃げ水」。逃げ水は、風のない暑い日などに条件が揃うと水たまりのようにその姿が見える、蜃気楼の一種です。銀杏堂には、この逃げ水が品物あるのです! 高田さんから手渡されたとたん、レンちゃんの手には「うすいビニールのようにとっても軽くて、少しひんやりしていて、肌にすいつくようでいながら、さらさらと流れるようでもある」、〈なにか〉が触れたのでした。
高田さんによるとそれは、サバンナにいた逃げ水でした。普通だったら、逃げ水をつかまえることなどとうてい無理に思えますが、それは、お話を読んでみてください。
このように、魅惑的な骨董と、それにまつわる14の物語が、『銀杏堂』に収録されています。ご紹介した2つの他にも、「いなずまのかけら」「この世界のひみつのまきもの」「文字虫」「溶岩コーヒー」など、名前からしてワクワクするものばかりです。
古代エジプトのお宝が登場!
1作目『銀杏堂』では、高田さんが突然新たな骨董を求める旅に出るところでお話が終わっていたのですが、2021年12月発売の2作目『銀杏堂 スフィンクスのつめ』では、レンちゃんが待ちわびた高田さんが帰ってきます!
高田さんが買いつけの旅にいっていた先は、エジプトでした。幻の骨董「スフィンクスのつめ」が手に入るオークションがあると聞きつけて、すぐに向かったのだそう。一見すると、ただの石のかたまりのような「スフィンクスのつめ」ですが、
それは、高田さんが、ひょんなことからツアーに参加し、「スフィンクスのつめ」を持って夜のピラミッドの中に入ったときに起こりました。だんだん頭がぼーっとし、一緒にいたはずのガイドさんや他お客さんの声が遠のき、気づいたときには、高田さんはなぜか石棺の中に入っていたのです! そしてふと見ると、「スフィンクスのつめ」が光りだし……。
高田さんはそこで、「これまで、この人生でわたしがしてきたことや、感じたことや考えたことは、なにひとつ、まちがってなかった」と感じる、神秘的な経験をしたのでした。
もちろんほかにも、おもしろい骨董のお話がたくさん! さらに、夏休みには、レンちゃんが高田さんのおうちにお泊まりすることに。高田さんは、一体どんなおうちで、どんな暮らしをしているのでしょう? 高田さんのことがだんだんわかってきて、2人がより親密になる2作目です。
2作目「虹のちとせあめ」より。レンちゃんがよく見ると、虹の根元がねじねじとどこかへ吸い込まれているよう……。高田さんによると、それは「橋下さん」が機械で吸い込み、飴を作っているからだそうで!?
高田さんの冒険心はまだまだ止まりません。どうやらまた旅に出るようです。きっとまた新しい骨董を手に入れて、レンちゃんに語ってくれることでしょう。ぜひレンちゃんと一緒に、高田さんの話に耳を傾けてみてください。