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編集部だより

『ワカバさんの正しい悩み解消法』
(偕成社こんな本もありました10)

ワカバさんの正しい悩み解消法 全2冊 1989年(平成元年)刊行
サトウワカバ/作 たけだみほ/さし絵
 
偕成社は、今年創業83周年。
このあいだに、数多くの本が刊行されてきた。
そのなかには、時代を反映しながらも、いまとなっては、
すでに忘却のかなたとなった出版物も数多くある。
ここでは、そんな過去の作品から、「知られざる一品」を紹介していこう。
 
 今回紹介する『ワカバさんの正しい悩み解消法』は、前に取り上げた『母と子の教育相談』と同じ「人生相談」というジャンルといってよいだろう。
『母と子の教育相談』の刊行は1974年だったので、それから15年後の1989年に刊行されたということになる。
 1989年、元号が「平成」となり、日本はバブル真っただ中。世界に目を向けると、ベルリンの壁が崩れ、ゴルバチョフが大活躍。世界はなんだか仲よくなってきたようだし、国内の景気はすこぶる好調で、楽観的な風潮が蔓延したころである。
 著者のサトウワカバ さんは、雑誌記者をスタートに、ライター養成講座、月刊誌のコメンテーターなどで活躍、実用書、児童書ジャンルにいくつか著作がある。
 さて、この時代の子どもたちの悩みにワカバさんはどう答えていたのだろうか。
 
 
まずは、小学5年生の男の子のこんな不満。
 
Q お・ん・な、大きらいだ!
 チクリだし、あつかましい。
 いちばん、こまるのは、すぐ先生にチクること。
 
 ワカバさんの回答は単純明快だ。
 
A 中学生になると、ちがってくる。
 おんな大好きになる。
 
また、小学6年生の女の子はこんな不安をかかえていた……。
 
Q 1日に1冊はマンガをよまないと気がすまない。
 それも、とちゅうでやめられない。ぜんぶ、よみおわらないとダメ。
 電車のなかでおとながマンガよんでいるのが多いけど、
 おとなになってもそうかなー。
 
 ワカバさんの回答は単純明快だ。
 
A そうならないように、今のうちにゲップがでるほど、う〜んとよんでおきなさい。
 
 
 ときにワカバさんは、具体的な提案もしてくれる。
 
Q 兄きのことなんだけどにくらしい。
 弟のボクに「あれしろ、これしろ」と、こきつかう。
 服はお古。じょうだんじゃない。
 兄きをこまらせる方法、おしえてよ。
 
A たくさんたべて、スポーツして、早く兄きより大きくなること。
 兄弟で、長男より次男、三男の弟のほうが、でっかいの多い。
 背も肩はばも大きくなれば、服のお古もない。
 
 
では、このような悩みに、ワカバさんはどう答える?
 
Q ママとパパ、ケンカばかりしてたの。
 わたしが小学校にはいってしばらくすると、ママが家出。
 ママが家にいなくなって、3年目です。
 ふだんはへいきだけど、スーパーに買いものにいったりして、ママとなかよくあるいている
 女の子をみると、すご〜くうらやましい。
 ママにあいたいです。
 
ワカバさんは素直に答える。
 
A ごめんなさい。
 なんの力にもなってあげられなくてー。
 神社、お寺にいったときは、ママが1日も早くかえってくるようにおいのりします。
 
 ワカバさんの人柄は好感がもてる。人生相談の本質とは、相談される側が、頭の中でもっともな解決法を示すことではなく、自分のキャラクターをどれだけ相談者にさらけ出せるか、ということなのかもしれない。そのような意味で、むかし朝日新聞に連載していた車谷長吉さんの「悩みのるつぼ」はよかったなあ。
 悩みが十人十色なら、答えも十人十色。同じ悩みを複数の人に答えてもらい、自分にしっくりくる回答を相談者が選ぶ人生相談があってもよいと思う。
 

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今日の1さつ

2年前から一人暮らしです。書店で本を目にして、トガリネズミの愛らしいすがたに、つい買ってしまいました。主人公がとてもかわいくて、1ページ、1ページ色んなことを想像して、楽しくて、最後読み終わったとき、「そっか〜良かったね」と声が出てしまいました。ほんわかとやさしい気持ちになり幸せでした。(60代)

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