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静かな愛を描く、冬に読みたい絵本『わたしのバイソン』

冬は夜が長く、寒い季節です。そのぶん、あたたかさに触れたときのよろこびは、他の季節よりも大きいもの。大切な誰かとの時間も、より濃密に感じられます。『わたしのバイソン』(ガヤ・ヴィズニウスキ 作/清岡秀哉 訳)で主人公の少女とバイソンが過ごしたのは、そんな冬のかけがえのない時間でした。愛と静寂と喪、そしてやすらぎを描いた翻訳絵本をご紹介します。


毎年冬になると戻ってくるバイソンと過ごす、かけがえのない時間

 少女は4歳の春の日、初めてバイソンに出会いました。はじめはおっかなびっくりでしたが、だんだんと心をゆるしあった2人は、春のひとときを森で楽しく過ごします。やがてバイソンは仲間の元へと去っていきますが、そのときバイソンは、こう約束をしました。
「ゆきが ふるころに なったら かならず あいに もどってくるよ」


 そして冬がやってきて、約束どおりバイソンは、少女のもとへやってきました。2人はあたたかい火のそばで語りあい、少女はバイソンがいなかったあいだの森のことを話して聞かせました。

 物静かでかしこいバイソン。あたたかいバイソン。少女は心からバイソンを愛し、2人は冬がくるたびに、何年も同じ時を過ごします。少女もバイソンも歳をとり、老いた姿になりますが、それでも2人の心は、若いときのままなのでした。
 
 しかし、ある冬の朝、バイソンは彼女の前に姿をあらわしませんでした。森を探し回っても、バイソンは見つかりません。でも、その夜の空はとても美しく、流れ星が流れ……彼女の心の中に、バイソンの声が聞こえてくるのでした。
 

ヨーロッパで4つの絵本賞を受賞した絵本

 ベルギー出身のガヤ・ヴィズニウスキさんが手がけた本作は、ヨーロッパで4つの絵本賞を受賞しています。フランスの新聞「ル・モンド」の書評欄では、次のように評されました。
雪景色に優しく包まれた幸福は、いくつもの冬を越えて続く。少女とバイソンは時が経つのも忘れ、心を通わせる。すべてには終わりがあるということをも忘れてしまうほどに。しかし愛というものは、それがいつか終わることの痛みも同時に含んでいる───
ガヤ・ヴィズニウスキ初めてのこの絵本は、絵も言葉も繊細にして力強く、まぶしいばかりに美しい。
 また、本作の翻訳刊行時、写真家の大竹英洋さんが書評でこのように述べられています。
友情、信頼、絆、そして愛。大切なものは目に見えないものばかりで伝えるのは難しい。しかしこの本は、冬と夜を舞台として、文章も色彩も構図も極限にまでそぎ落とし、抑制を効かせることで、それらを確かな手触りのあるものとして感じさせてくれた。
 大竹さんが述べている通り、全体を通して文字は多くなく、絵も色合いをおさえたシンプルなもの。だからこそ少女とバイソンの間に流れるあたたかな空気が、読み手にたしかに伝わってきます。
 
 読後もわたしたちの心に、静かに残り続ける一冊です。大切な誰かへ思いを馳せながら、ひらいてみてください。

 

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今日の1さつ

小学校6年生のときに、「十一月の扉」を読んで以来、高楼さんの本が大好きです。「街角には物語が…」も、読んでいてとても心があたたかくなりました。高楼さんの物語の世界は、小さい頃から私の憧れている世界そのもので、本当に大好きです!!(17歳)

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