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今週のおすすめ

火を見つめる、静寂のひとときを味わえる絵本『ダーラナのひ』

少女のまっすぐな眼差しと、その瞳に映り込む光が印象的な絵本『ダーラナのひ』(nakaban 作)。ひとり旅の途中で浜辺に立ち寄った少女が、焚き火をとおして「いつか、どこかにいた自分」を思い出す、ゆったりとしたひとときを味わえる一冊です。

旅の途中、自然のささやき声に導かれた少女は……

 ダーラナは旅のとちゅう、浜辺にたどりつきました。あたりは夕日に包まれ、まもなく夜を迎えようとしています。「ダーラナ ダーラナ わたしたちを あつめてごらん」「たきびをして あたたまっていきなさい」ささやき声にみちびかれ、ダーラナは枝をあつめて火をつけようとしますが、マッチがなかなか見つかりません。

 すると、夕日の最後のひとかけがはじけて、枝のこやまに飛び込みました。ちいさな火は、だんだんと大きくなって、ダーラナをあたためます。やがて、夜も深くなってきました。火を見つめるダーラナが思い出したのは……。

火を見つめると思い出す、はじまりの記憶

 火を見つめることはふしぎと、心を空っぽにして、癒しをあたえてくれるものです。大きく燃え上がったり、だんだん弱くなって宝石のようになったりする、姿をかえてゆらめく火。それを見つめるダーラナの瞳をとおして、読者もいっしょに火を見つめているかのような、ふしぎな感覚をおぼえます。

 鮮やかな色彩で描かれた焚き火の炎や夕焼けと、漆黒のコントラストが美しい本作。作・絵を手がけた作者のnakabanさんは、刊行時のインタビューでこのように語っています。

自分の根っこ、はじまりの部分を思い出すという意味で、火をみることはとても大事じゃないかと思います。世界中の先住民も、儀式や瞑想に火を使っていますよね。でも、焚き火そのものは、僕たちの日常から遠ざかってしまっている。あぶないものだから、だめですって。気持ちはわかるんですけど、ちょっとさみしい。
(中略)
最近は焚き火が大人のあいだで流行っているみたいですね。なんだかわかるような気もします。人類にひつようなもののパズルのピースがかけているような気がしていて、みんなが手探りをしている状態で、そのひとつが「火をみつめること」なのかもしれないなと。
 
この絵本を読んだひとが、自分も火を見つめてみようかなと思ってくれたら、すごく意味のあることなんじゃないかと思います。

 ダーラナは、どこからやってきて、どこへ向かうのか。絵本の中ではまったく明かされません。でも、そんなことはどうでもいいのです。火を見つめて、心に余白が生まれたとき、あなたの心に浮かぶ景色はなんでしょうか。忘れていたけれど、ずっと心の中にあった、大切な「はじまりの記憶」を思い出すきっかけになる一冊です。

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今日の1さつ

小学校6年生のときに、「十一月の扉」を読んで以来、高楼さんの本が大好きです。「街角には物語が…」も、読んでいてとても心があたたかくなりました。高楼さんの物語の世界は、小さい頃から私の憧れている世界そのもので、本当に大好きです!!(17歳)

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