icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

今週のおすすめ

チェコ在住の作家・出久根育さんの珠玉の絵本2選『あめふらし』『マーシャと白い鳥』

いくさんは、チェコ・プラハ在住の絵本作家。スロバキアの絵本作家ドゥシャン・カーライに師事した経験をもち、日本人離れした独創的なイラストが魅力です。今回は初期作品にあたる、ブラチスラバ世界絵本原画展でグランプリを受賞した『あめふらし』(2003年)、日本絵本賞大賞を受賞した『マーシャと白い鳥』(2005年)を紹介します。

おそろしいグリム童話に魅惑的なイラストをつけた『あめふらし』

 『あめふらし』(グリム兄弟 著/若松宜子 訳)は、グリム童話に出久根さんがイラストをつけ、ブラチスラバ世界絵本原画展でグランプリを受賞した作品です。

 舞台となるのは、美しく聡明でありながら、残酷な王女のいる国。王女は婿選びの時期をむかえたものの、気位が高く、いつまでもすべてを自分のおもうままにしたかったため、結婚の条件に難題を出します。とある若者が、この王女とのゲームにのぞむのですが……。

 どの場面の絵をとりだしてみても、それ1つで絵画作品のようで、どこまでも不思議で強烈な世界に惹きつけられます。どうしたらこんな構図が浮かぶのだろう? と、出久根さんの底知れぬ想像力にぞくりとする1冊です。

※本作はパロル舎から刊行したものを、翻訳をあらため、2013年に再刊行したものです。

赤が印象的なロシア民話の絵本『マーシャと白い鳥』

  『マーシャと白い鳥』(M・ブラートフ 再話)は、出久根さんが文章も手がけたロシア民話の絵本。両親が留守の間、弟のワーニャの面倒をみるようにいわれた少女、マーシャ。ところが、マーシャはその約束を守らず、あそびにいってしまい……帰ってくると弟の姿はどこにもありませんでした。ワーニャは白い鳥にさらわれてしまったのです! 

 マーシャは勇気を出して、鳥たちがきえていった黒い森へ向かうことに。弟をさがす道中で出会うのは、土でできたペチカ、赤い実をいっぱいつけたりんごの木、そしてミルクの小川にチーズの岸。それぞれに助けられながら、ついにおそろしいババヤガーがすむ小屋の前で、弟をみつけるのですが……。

 マーシャの頭巾の赤が印象的に描かれた絵本。「ミルクの小川」「チーズの岸」という聞き慣れない世界へも、出久根さんの幻想的な絵があざやかに読者を導いてくれます。

 出久根さんは、ほかにもチェコを中心にした昔話の絵本や、創作絵本、挿絵を担当した絵本など、多数の作品を手がけています。気になった方はぜひ、チェックしてみてくださいね。

この記事に出てきた本

関連記事

バックナンバー

今日の1さつ

推理小説で、怪奇小説で、歴史小説。なんて贅沢な一冊!そしてどの分野においても大満足のため息レベル。一気に読んでしまって、今から次回作を楽しみにしてしまってます。捨松、ヘンリー・フォールズなど実在の人物たちに興味が湧いて好奇心が刺激されています。何よりイカルをはじめとするキャラにまた会いたい!!(読者の方より)

pickup

new!新しい記事を読む