体調を崩して一日寝ていなくてはいけない日は、つまらないですね。でももし、おふとんにひみつがあったとしたらどうでしょう? 今回ご紹介する『おふとんのくにのこびとたち』(越智典子 作/出久根 育 絵)では、ひさこちゃんのおふとんの上で、驚くべきことが起こります!
おふとんの上に現れたのは、ふしぎな言葉をしゃべる小人たち!
ある日、ひさこちゃんは熱をだしてしまいました。
「あらあ、ひさこちゃん、おねつがあるわ。きょうは おとなしく ねていましょうね。」
お母さんはひさこちゃんにおふとんをかけて、部屋をでていきます。
寝ていないといけないなんて、つまらないですよね。ひさこちゃんはおふとんの中で、もぞもぞ。すると、おふとんが山の形になりました。
「あ、おやまが できた。もっと おやまを つくっちゃおう。」
ひさこちゃんがおふとんの山をつくると……おやおや? 「ヨホレイホーー」「ヨホレイホーー」、どこかから声がきこえてきました。そして、おふとんの山は、いつのまにか雪山になり、小人たちがすべりおりてきたのです!
ひさこちゃんに気づいた小人たちがしたことは?
気づけば、雪山の手前には、小人たちが住む村がひろがっていました。
「オットー アホイ チョッテッコー」「トチャガメラ」
ふしぎな言葉をしゃべる小人たちは、屋根の雪おろしをしたり、たき火をたいたりと、おふとんの上で動きまわります。
そして、大きなテーブルにごちそうをならべ、「アラリヤナー」「アラリヤナー」とパーティーまで始めたではありませんか! ひさこちゃんは思わず、「うふふっ」と笑ってしまいました。
すると、その鼻息で雪が舞い、小人たちは雪まみれ。驚いた小人たちは上を見上げ……ひさこちゃんに気がつきました!「レマア!」
ひさこちゃんの存在に驚く小人たち。すると、何やら話し合ったすえ、数人の小人が歩きだしました。なんとおふとんの山を降り、ひさこちゃんの髪をたどって、おでこの上にあがってきたのです!
驚きつつ、じっとして小人たちの行動を待つひさこちゃん。さて、彼らはいったい何をするのでしょうか?
文字がほとんどない、絵で読む絵本
この絵本は、最初と最後のお母さんのせりふ、ときたま入るひさこちゃんのひとりごとのほかには、ほとんど文字がありません。でも、小人たちのひそやかかつ楽しげなようすは、絵からひしひしと伝わってきます。後半、村じゅうの小人たちが総出でひさこちゃんにあるものをつくるシーンも、絵だけでたくさんのことが語られます。
もしかしたら、あなたのおうちのおふとんにも、小人たちの国があるかもしれません。今夜はひみつの国に思いを馳せながら、おふとんにもぐってみてください。