みなさんは、ナマコがどうやって生きているか、ご存じですか? 料理でもおなじみのナマコには、実は驚きの特徴がたくさんあります。これは、ナマコ研究の第一人者である本川達雄さんが奥深いナマコの世界をわかりやすく解説した、世にもめずらしい絵本です。絵は、ナマコを愛してやまない絵本作家のこしだミカさんが手がけました。
ナマコって、いったい何者!? ナマコの「ナ・マーコ」が詳しく解説します
沖縄の海で、ナマコを発見した男の子と女の子。ギュッと握ったら、ナマコはなぜかカチンコチンになりました。ところが、次にゴシゴシこすってみると……今度はグニャグニャに柔らかくなって、溶けてしまったではありませんか!
しかし、溶けてしまったナマコは、数週間経つと元どおりになります。おまけに2つに切られても、2匹になって生きていけるのです!
「なんだかヘン! とってもヘン!! いったい、ナマコって何者?」
「わがはいが ヘン? フフン。ヘンには わけが あるんだぞ!」と、摩訶不思議なナマコの生態をおしえてくれます。
ナマコの生態を徹底的に掘りさげる! しかも本川さん作詞作曲の、オリジナルソングの楽譜までついています。
ナマコの生態は、どれも驚くものばかり。たとえば、
・目も耳も鼻もなく、心臓も脳もない。内臓はほとんど腸だけ。息をするのは、おしり。
・筋肉が体重の約50%を占める哺乳類に対し、ナマコの筋肉はわずか7%。60%は皮!
・一番重たいナマコはアデヤカバイカナマコの5kg、一番長いナマコは、奄美大島で発見されたクレナイオオイカリナマコの4m50cm。
・敵におそわれたら、皮をカチンコチンにして防衛。それでもダメなら皮をとかして穴をあけ、腸をはきだして、敵が喜んで食べているすきに逃げる(体はからっぽ!)。
・食べものは、身のまわりにある砂。
などなど、ほかの動物たちとはまるで違います。あっけにとられているうちに、気づけばナマコの世界に引き込まれてしまうこと必至です。
作者の本川達雄さんは、動物生理学専攻の理学博士。ナマコ研究の第一人者で、東京工業大学の名誉教授です。ご自身が作詞作曲した歌で授業をする、「歌う生物学者」としても知られています。本作にも、「ナマコ天国」と「超人!? ナ・マーコ」の楽譜ついています。
▼本川達雄さんご本人が歌う、「超人!?ナ・マーコ」「ナマコ天国」
絵を手がけたこしだミカさんは、もともとナマコが大好きで、観察のために沖縄の黒島を訪れたこともありました。本作では、力強く愛情深い筆致で、ナマコを描き上げています。
知らなくても困らないけれど、知れば知るほどおもしろい、それがナマコ。ぜひこの本を読んで、あなたもナマコ博士になってみませんか。