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宿題は「どろぼうをすること」。かこさとしさんがユーモラスに描く『どろぼうがっこう』とつづきのおはなし

「ぬきあし さしあし しのびあし どろぼうがっこうの えんそくだ それ!」絵本作家・かこさとしさんの代表作のひとつである『どろぼうがっこう』。「どろぼうになるための学校」で起こるあれやこれやを、ユーモラスに描いた作品です。40年の時を経て刊行されたつづきのおはなし『どろぼうがっこう ぜんいんだつごく』『どろぼうがっこう だいうんどうかい』も合わせてご紹介します。

宿題は「どろぼうをすること」。遠足の持ち物はお菓子じゃなくてねじ回し?!

 村はずれに、どろぼうがっこうがありました。ここは、うんと勉強して、悪いどろぼうになるための学校です。校長先生は、世にも名高い「くまさか とらえもん」先生。ある日こんな宿題が出ました。「明日までに、なにかどろぼうしてくること」。翌日、どろぼうがっこうの生徒たちが持ち寄ったものは……?

 ネズミこぞうのじろきちが持ってきたのは、革靴。くまさか先生は感心して「おまえ きっと しゅっせして、おおどろぼうに なれるぞ」とお褒めの言葉。しかし、どこから盗んできたか聞くと……「はい。ぼくの うちの くつばこから、もってきたんです。」! 「じぶんの ものを もってきても しゅくだいには ならんわい。そんなのは だめだ。しゅくだいは らくだい!」とくまさか先生はご立腹です。ほかにも、変なものを盗んでくる生徒ばかりで、みな落第してしまいました。

 その翌日は、どろぼうがっこうの遠足の日! クラスみんなでとなり村までどろぼうをしに行くのです。持ち物は、ねじ回しと出刃包丁。待ち合わせは夜の10時です。「♪ぬきあし さしあし しのびあし どろぼうがっこうの えんそくだ それ!」と歌っているうちに、となり村に到着! たくさんお金をもっていそうな、一番大きな屋敷をみんなで探します。

 「せんせい、あそこの うちが いちばん おおきいようです。」「よし それ。」と、目的地を決めた一行は、ぬきあし、さしあし、忍び込むのですが……。あれあれ、一体どんなお屋敷に忍び込んでしまったのでしょうか?!

40年の時を経て刊行。『どろぼうがっこう』のその後を描く「つづきのおはなし」

 くまさか先生たちを、いつか脱獄させてあげなくちゃと思っていたという、かこさとしさん。2作目『どろぼうがっこう ぜんいんだつごく』は、前巻で警察につかまってしまったくまさか先生一行の、刑務所での生活からスタートします。生徒たちは、刑務所の規則をきちんと守り、少しくらい嫌なことがあってもがまんして、おとなしく過ごしていました。そんなある日、くまさか先生が生徒たちを集めて、綿密な脱獄計画を話します! さて、計画は成功するのでしょうか。

 3作目『どろぼうがっこう だいうんどうかい』では、どろぼうがっこうで年に一度開かれる、大運動会のお話が描かれます。「ドルばこリレー」「ニセさつわたし」「ぎゃくどろけい」など、どろぼうがっこうならではの、楽しい競技が目白押し。せいいっぱいがんばったあとは、待ちに待ったお弁当の時間です。しかし、教室にもどった生徒たちは、お弁当や脱いだ服がなくなっているのに気づいて……。

原稿の裏の走り描きから生まれた作品

 『どろぼうがっこう』は、セツルメント活動(現代でいえば、教育や文化的支援を中心としたボランティア活動)をしていたかこさとしさんが、子どもたちに見せた紙芝居がもとになっています。当時は学位論文の執筆中で、多忙な毎日を送っていたかこさん。あるとき原稿の裏に黒一色で走り描きした紙芝居が、子どもたちに大うけしたそうです。かこさんは、当時をこう振り返ります。

単色に近い彩色の、しかもデッサンも構図もいいかげんなこの紙芝居を、何かことあるごとに子どもたちは「みせて」とねだり「演じろ」とせまりました。

何度となく、そのアンコールにこたえながら、わたしはかれらが表面上のきらびやかなケバケバしさや豪華さにひかれるのではなく、もりこまれた内容の高いおもしろさを求めているのだということを、子どもたちに教えられたのです。

(『どろぼうがっこう』あとがきより)

 「どろけい」(鬼ごっこの一種で、警察とどろぼうに分かれて遊ぶ)で遊んでいる子どもたちを見て、警察ではなくどろぼうを選ぶ子どもが多いことに気づいたかこさん。自由でおもしろく、痛快な生き方をしているどろぼうの絵本をつくることにしました(ですが、どろぼうのお話を出版すると決めた当時の偕成社の社長には、かこさんでさえもびっくりしたそうです。)。

 2作目『どろぼうがっこう ぜんいんだつごく』では、子どもたちに納得されるような、それでいて悪影響を与えないような脱獄方法とは? ということを悩み、世界中の脱獄の記録を調べて、「法にふれない」脱獄方法を編み出しました。

 常に子どもたちの目線を見つめつづけ、子どもたちののびのびとした成長を願っていたかこさんならではの絵本です。

『どろぼうがっこう』についてかこさとしさんが語ったインタビュー動画も、ぜひ合わせてご覧ください。

偕成社公式YouTube▼
〜【偕成社】かこさとしインタビュー(2)『どろぼうがっこう』について〜

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今日の1さつ

子どもが2歳になり、急にのりものが大好きになりました。この本は同じく車が大好きだった私の弟が小さい頃気に入って毎日読んでいたもので、私も一緒に見ていたのでとても懐かしかったです。もちろん子どももすぐに気に入り、毎日のように寝る前に読んでいます。(2歳・お母さまより)

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