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かこさとしが描くローカル電車の旅『出発進行!里山トロッコ列車 小湊鐵道沿線の旅』

千葉県の房総半島の五井駅を始発とし、養老渓谷の先のかず中野駅までをむすぶ、みなとてつどう。かこさとしさんの絵本『出発進行!里山トロッコ列車 小湊鐵道沿線の旅』は、この鉄道に新設された「里山トロッコ列車」の沿線の旅を描いた、知識絵本です。

いったいどうして、かこさんがこの絵本を描くことになったのか? かこさんが深く共感したトロッコ列車に込められた思いとは? 実際に現地に足を運び撮影した写真や映像を交えて、ご紹介します。

“逆開発”!? 里山トロッコ列車ができたわけ

 房総半島と聞くと、みなさん何を連想されるでしょうか? 潮干狩り、海釣り、海泳ぎなど海の景色が浮かぶ方が多いのではないかなと思います。けれども、実はそれだけではなく、房総内陸には、菜の花やレンゲの田畑、なだらかな丘や桜、びわやなしなどのくだものなど、季節の自然を感じられる、うつくしい里山の風景が広がっているのです。

 この心やすらぐ里山の風景こそが沿線の魅力という思いから、小湊道がはじめたのが、アスファルトをとりさり花や木を植えて駅前に自然を取り戻す“逆開発”。そして、この里山を存分にあじわってもらうために、2015年に運行を開始したのが、オープン型の観光列車「里山トロッコ列車(小湊鐵道のサイトに飛びます)」でした。オープン型ですから、枠はあるけれど、ガラス窓はありません。乗客は時速20kmでゆっくりゆっくり走るトロッコ列車にゆられながら、里山の景色のうつろいをさえぎるものなく目に映し、豊かな空気を胸いっぱいにすうことができるのです。

「里山トロッコ列車」の車内。木調のあたたかな雰囲気です。

窓の外にはなだらかな山々とともに、美しい菜の花畑が幾度も幾度もあらわれます。地元のボランティアの方が地域の景観を守ろうと、毎年種をまいているものです。

小湊鐵道とかこさとしさんの出会い

 小湊鐵道とかこさとしさん。この出会いは、小湊鐵道の社長さんのご熱意から生まれました。幼い頃からかこさとしさんの絵本が大好きだったという社長さんが、トロッコ列車の運行を宣伝するためのパンフレットの絵を、かこさとしさんにお願いしたのでした。あたらしいお仕事はめったにうけられていなかったこの頃のかこさんでしたが、お手紙にしたためられた「里山の風景を守る」「人と自然の共存」という小湊鐵道の想いに深く共感し、お引き受けされたのでした。

「里山トロッコ列車」のパンフレットに描かれたかこさとしさんの絵

知識絵本のパイオニアならではの1冊!

 かこさとしさんが依頼にこたえるために描いた下絵をたまたまみたのが、偕成社の編集者でした。担当者が電車好きだったこともあり、すぐに「これを絵本にしましょう!」とかこさんに依頼したのです。当初は「のりもの絵本」のようなイメージをもって依頼したそうですが、ふたをあけてみたら、絵本のために新たに描きおろした絵で構成された、歴史、地理、自然などを紹介しながら小湊鐵道沿線の旅へ案内する、知識絵本ができあがっていました。

 クリーンディーゼルエンジンで走る列車の構造にはじまり、それぞれの駅周辺の地域の歴史、みどころ、季節ごとにみられる草花や、鳥たちの紹介などが見開きごとに丁寧に描かれています。

 かこさんはこの絵本のできた経緯について、あとがきでこのように述べられています。

地域の方とともに、着実熱心に進めてこられた計画の、健康であることと未来性に感動し、ろう筆を省ずお手伝いすることになり、下絵をすすめていた折、俊敏な出版社の目にとまり、列車運行をめざしての絵本を作ることとなりました。

せっかく見ていただく読者に少しはよい内容をと、いただいた資料を読むうち、房総は縄文の先祖の人達の遺跡点在の地であり、壬申の乱にまつわる古代史伝説や、「南総里見八犬伝」のモデル女性の寺、さては磁場逆転層の所在など、歴史、文化、自然科学に至る総合多元の由緒の地域であることを知り、それらをできるだけお伝えしたいと思い、ご繁忙のなか、石川社長に何度も下絵や原稿を詳細に点検、教示頂くとともに、温かい励ましをくださったことに感謝いたします。

 実際に足を運ぶことはかなわなかったかこさとしさんが、小湊鐵道の石井社長と綿密に打ち合わせをし、様々な資料を取り寄せ調べて描かれた、かこさんならではの知識と観察眼、研究がみごとにあわさった絵本です。

ぜひ絵本をもって、トロッコ列車へ!

 春は、地元の方が熱心に植えて育てられた菜の花畑、季節の草花が色とりどりに広がる、「里山トロッコ列車」みどころの季節です。車内でも絵本は販売していますので、ぜひ絵本をみながらゆったり列車の旅にでかけてみてくださいね。

 では最後に、トロッコ列車に乗った気分になれる、映像をお楽しみください。

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