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編集部だより

「ギタイする虫」について考える絵本

生き物の絵本を多く手がける三輪一雄さんの作品は、いつも「興味をもつ」ってこんなにおもしろい、ということを教えてくれます。ふと気になったことに目を向けてみる、調べてみる、考えてみる。「きゃっ! ちょっと気持ちわるいなあ」と思う虫にも、ぜひ心を寄せてみてください。

 三輪さんと初めてご一緒した絵本は『ガンバレ!! まけるな!! ナメクジくん』でした。見かけはただカラがある、ないの違いのナメクジとカタツムリですが、かわいがられるカタツムリに比べて、どうもみんなからきらわれがちのナメクジくん。そこに注目して、ナメクジを調べ進めていくと、意外なことが見えてきた! この本ができたあと、私はナメクジに塩をかけてやっつけることができなくなりました。そのぬめぬめした背中をみて「ガンバレ!」と声をかけたくなるのです。

 その後も、三輪さんの絵本は、ちょっと違った視点で、ものごとをみることがテーマになっています。その主人公はヒキガエルだったり、オウムガイだったり、世の中のあちこちにある「ぐるぐる渦巻き」だったり……。最新刊はこちら! 『こちらムシムシ新聞社 ギタイは天敵がつくる?』。『こちらムシムシ新聞社 カタツムリはどこにいる?』に続く、シリーズ2作目です。

 この絵本に登場するムシムシ新聞社自然科学部の七星あまみち記者(七星テントウムシ)は、読者の質問の手紙になんでも答えてくれる自然科学専門記者ではありません。質問に対し自分の「足」で取材し調べあげていく地道な記者です。
 この地道な行動は、作者の三輪さんの本作りの姿勢と同じです。

 三輪さんは、常に「帳」というノートを持ち歩いています。三輪さんが最初に「ギタイ」に興味をもたれてから、この「根多帳」を何度も見せていただきました。(最初はいったい何年前だったか……ですが)こんなノートです。

 三輪さんは、一つテーマを見つけると、常に常に常にそのことを考えて、近所の大きな公園や川のそばの遊歩道などを歩き回ります。
 (以前手がけた『ぼくたちいそはまたんていだん』という貝を紹介する絵本のときは、フィールドが海岸だったので、毎回長時間かけて海に通い大変そうでした)そして、実物を見つけては、それについて調べる、を繰り返します。

 調べるうちに、逆に「こんなものがあるらしい、その実物を探すぞ」と決めると、見つけるまでとことん足を運び、それが見つかるまで本はできません。

 今回のギタイをテーマにした絵本のときにきた、ある日のメールです。

上水脇の人家の柵で遂に見つけましたよ、アケビコノハの幼虫こと『妖怪 アケビワラシ』! ムベの葉っぱに付いた幼虫を観察していたらいきなり出窓が開いて「何見ていらっしゃるの?」とその家の奥さん。「あ、無断ですいません。アケビコノハという蛾の幼虫がいるので観察してました」「蛾の幼虫? どこどこ……」といったので指で指し示すと……

「キ、キャ~~~~~ッッッ、持って帰って下さらないっ ! ! お、お願い~~~~~っ ! ! 」

三輪さんが発見したアケビコノハの幼虫。

 どれだけ長いあいだ探していたことか! その後、三輪さんは大喜びで家へ持ち帰り、そのアケビコノハを育てました。無事に羽化したアケビコノハを、観察後、もともといた場所に放しにいらしたそうです。先の奥さんには心のなかで(ごめんなさい)と言いながら……。

無事に羽化したアケビコノハ。

絵本に登場しているアケビコノハ。

 アケビコノハの幼虫については「同じ幼虫でも薄緑色と漆黒色があるようだ!」と、その後はこんな2匹も発見されて!

 こんな三輪さんですから、絵本はリアルになるわけです。ちなみに、この写真、販促のために我が社の某販売部員(若者男子)に見せたら、「わ〜」と言って逃げられました。後に「あれはちょっと……」と。

なんだ、全く! いまどきの若いもんは!

 こんなかわいい写真も、いただきました。トビモンオオエダシャクの幼虫。絵本の表紙にも描かれているアトム頭の幼虫です。

トビモンオオエダシャクの幼虫。

 生きものの不思議を思わずにいられません。この地球上は人間だけでなく、たくさんの生きものがいて、みんな一生懸命生きているのです。

 前作『こちらムシムシ新聞社 カタツムリはどこにいる?』を読んで、感想文を書いてくれた小学校3年生の吉原くんは、こう綴りました。

自然のサイクルをこわしているのは、ぼくたち人間なのかもしれないと思うと、とても悲しい気持ちになりました。カタツムリだけではなくて、ほかの動物や小さな生き物にもえいきょうしていないかと心配になりました。

 新作絵本を読んでいただいて、相手を傷つけない、平和な生き方をしているらしい、ギタイの虫たちに、すこしでも興味をもってもらえるとうれしいです。

(編集部 C)

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