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編集部だより

知ることが、最大の防災。地震について知るための本3冊

2020.03.11

 こんにちは。編集部の秋重です。きょうは、地震にまつわる本を3冊紹介します!


『てつびん物語 阪神・淡路大震災 ある被災者の記録』
(奥野安彦/写真 土方正志/文)

 1995年の阪神・淡路大震災で被災者となった、小料理屋「てつびん」のおばちゃんの10年間を追いかけた写真絵本です。
 釜飯が自慢の「てつびん」は、地元の人に愛される小料理屋さんでした。地震によりお店は全壊、おばちゃんも住むところを失い、仮設住宅で暮らすことになります。おばちゃんの地震後の足どりは、そのまま神戸の復興の足どりと重なります。でも、街は復興していくけれど、おばちゃんの地震との闘いはずっとつづいていました。ひとりの被災者を通して見る、阪神淡路大震災の記録です。
 

こわれたお店の前で。「生きとっただけでめっけもんや。こうなったら、死ぬまでりっぱに生きたるわ。」というおばちゃんに魅了されて、取材がはじまりました

著者の土方正志さんは、あとがきでこう言っています。
 おばちゃんとおなじように闘った人が、いまも闘いつづけている人が、神戸にはたくさんいます。神戸だけではありません。この災害列島には、おばちゃんのような人たちの闘いのあとが、無数に刻みこまれているはずです。おばちゃんとの10年間から、ぼくらはなにを学ぶべきなのか。奥野とぼくは考えつづけています。

『地震のはなしを聞きに行く 父はなぜ死んだのか』
(須藤文音/文 下河原幸恵/絵)

 東北大震災で父親を亡くした著者が「なぜ父が死んだのか」を知るために、地震学、地震考古学、防災学の研究者をたずねます。地震はどうして起こるのか、今までにどんな地震があったのか、防災って何をすればいいのか、研究者の先生たちがわかりやすく教えてくれる本です。
 

地震の起こるしくみなどもまんがといっしょに解説しています

 
こちらも、著者の須藤さんのあとがきから。
 次に大きな災害がおこった時、被害をすこしでもすくなくするために、私が今できることは、なんでしょうか。その答えは、今回お話を聞いた先生たちが教えてくれました。
 地震に対するしっかりとした知識を身につけておくこと。自分の住んでいる土地の災害の歴史を知っておくこと。暮らしのなかに、防災を根づかせておくこと。そして、自然はおそろしいものなのだということを、私たちの言葉と文章と、傷ついた祈りの場所をもって、未来に伝えていくこと。
 

『地図で見る 日本の地震』
(山川徹/文 寒川旭/監修)

 上の2冊を刊行したあとに、自分の住んでいるところでどういう地震があったのかを子どもたちが自分で調べられる、知ることができる本があったら…という思いで作った本です。679年の筑紫地震から、2019年の山形沖地震まで、日本で起こった大きな地震を地図とともに紹介しています。
 地震の歴史を振り返ること自体も興味深いのですが、当時の文献に残っている地震の様子から、昔の人がどう地震に向き合ってきたかもわかるのもおもしろい、とおもっています!
 

地域ごとに大きな地震を地図で紹介

当時の人々の様子も紹介しています。これは、江戸時代の避難所、お救い小屋の紹介

「地震の巣」とよばれる日本列島で暮らすわたしたちにとって、地震とどのようにつきあっていくかはとても重要な課題です。地震がかならず起き、予知できないのなら、とりくまなければならないのは、被害をできるだけ軽くする「減災」です。
 被害を軽くするためには、まず、その土地でどんな地震が起きたのか、昔の人たちは地震にどうむきあって、生活を立てなおしてきたのか知る必要があります。そこから、みなさん自身の命と暮らしをまもる「減災」がスタートするのです。(まえがきより)

きょうは3月11日。地震のことをもっと知りたいなあ、と思ったときに、この3冊を思い出してもらえたらうれしいです…!

(編集部 秋重)

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