みなさん、こんにちは。桜、咲きましたね! 先日フルマラソンで3時間切りを果たした編集部の藤田です。今回はそのレポートを、といきたいところですが、またの機会に。いぜん「描き文字と坂川知秋さんのこと」でも描き文字についてお伝えしましたが、昨年12月に出した絵本2点でたくさん描き文字を使ったので、今回はそのご紹介です。
まずは『ロビンソン』(ピーター・シス 作/髙柳克弘 訳)です。アメリカで活躍するベテラン絵本作家の作品で、少年時代の経験をもとにしたお話です。まずタイトル文字。これがアメリカで出ている原書「ROBINSON」です。
手描きですよね。なので日本語版でも手描きにしました。お願いしたのは、小田美由紀さんです。1980年代のテレビ番組のタイトル文字を手描きで再現し、SNSに発表なさっているかたです。もともとその仕事をなさっていた方で、プロです。かねてからSNSで作品を楽しみに見ていました。それでお願いしたというわけです。私から小田さんにお渡しした「指定紙」がこちら。私の字…、とてもきれいな字……。
すてきですね—! やっぱり手描きはいいですね。端正なただずまい、そしてあたたかみのある線。まさに職人だ! そして完成した日本語版の表紙はこちら!
小田さん、ありがとうございました!(デザインは藤田知子さん)。そしてこの本には、絵のなかにもいくつか描き文字があります。原書はこちら。アオ矢印のところです。
ここは文字よりも絵にちかく、別のかたにお願いしました。絵本『ゆきがふるまえに』『わかくさのおかで』などの作者かじりみな子さんです。ちみつで、かつダイナミックな絵を描く作家さんですが、このスポット的なお仕事もこころよく引きうけてくださいました。そしてまずいただいたのがこちらの原稿(原画)です。
まだよくわからないかもしれませんが、これを絵にあててみると……
おみごと! バッチリはまってますね。きもちがいいほど!
つづいての絵本は『世界中から たっくさん!』(マーク・マーティン 作)です。こちらは原書「LOTS」です。
原書の文字はほぼすべてが描き文字なので、日本語版もそれにならいます。お願いしたのは近藤理恵さん。偕成社では『タトゥとパトゥのへんてこマシン』などで文字を描いてくださっています。タイトルの原稿はこんな感じ。
おお、迫力があります。スミの濃淡も原書を再現してます。これをデザイナーさんに置いてもらうと……
ばっちりです。原書の雰囲気そのままに!(デザインはJUN KIDOKORO DESIGN)。この本は本文にキャプションが400箇所ほどあり、それをすべて描き文字にしたので、とっても大変でした。近藤さんのお力なくしてはできませんでした。見てください、この量。文字どおり、文字がたっくさん! でもほんの一部です。
とうぜん文字は、原書のスペースに合わせて大きさ、レイアウトなども考えなくてはなりません。うまくはまっているかな。
ひとくちに「描き文字」といっても、単に文字を描く、ということにとどまらない「創作」であることがよくわかりますね。みなさんも書店さんで気になる描き文字があったら、手にとってじっくりと見てみてはいかがでしょうか。あたらしい発見があるかもしれません。ではまた!
(編集部 藤田)