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わたしの仕事は…「カオスの管理エージェント」!? ユーモアたっぷり、斉藤洋『空で出会ったふしぎな人たち』

きょうご紹介するのは、斉藤洋さんの『空で出会ったふしぎな人たち』。「空で出会った」って、ちょっとびっくりしますよね。これには語り手「わたし」の仕事が、大きく関係しているのです。「わたし」の仕事は、「カオスの管理エージェント」。なんだか聞きなれない単語ですが、まずは「カオス」から説明しましょう。

「カオス」を探して空へ!

 「カオス」は日本語でいうと「混沌」。「ぐちゃぐちゃになっていて、なんだかわからないもの」という意味ですが、このお話に登場するカオスは、上空に浮かぶ穴のようなものです。この穴の色はさまざまで、「よい性格のカオス」からは便利で無害なものが、暗い色の「性質のよくないカオス」からは竜巻やペスト菌などの悪いものが出てきます。カオスを見つけ、修繕すべきところがあれば修繕する。それが「カオスの管理エージェント」の仕事です。カオスから出てきた品物は、自分のものにしてもよい! というのが、この仕事のおいしいところです。
 「わたし」は、とあるトルコ人の商人から、この仕事を引きうけることになりました。でも、管理するには、まずカオスを見つけなければいけません。日々カオスを探しています。カオスは上空に浮かんでいるらしいので、「わたし」はこれまたトルコ人の商人から買った空飛ぶ玄関マットに乗り、カオス探しをしているのです。
 
 

カオスを見つけるはずが、「わたし」が出会うのはふしぎな人ばかり

 トルコ人からエージェントの仕事を引きうけ、はりきる「わたし」ですが、上空で出会うのはカオスではなく、ふしぎな人たちばかり。これはカオス? と思って近づいた穴から、牛を連れたギリシャ人が出てきたり、雲に乗った毘沙門天が現れたり…。てんでばらばらな人たちですが、そのだれもが日本語をとても自然に話せるという共通点も。これまたふしぎなことです。

 

毘沙門天

雲に乗って現れた毘沙門天

ギリシャ人

牛を連れたギリシャ人の農民


 
 あまりにふしぎ、まさにカオスなお話に振り回されつつ、「わたし」の軽妙な語り口に、どんどんページをめくってしまいます。
 

毘沙門天からあずかった仏塔を部屋に置くと、そのまわりに苔がはえ、山ができ、小川が流れ…なんだか大変なことに!?

姉妹編も発売中! 『ギュレギュレ!』でトルコ人との出会いをチェック

 この『空で出会ったふしぎな人たち』は、2016年発売の『ギュレギュレ!』の姉妹編です。『ギュレギュレ!』は、「わたし」が奇妙なトルコ人の商人と出会い、彼にさそわれてカオスの管理エージェントになるまでのお話です。

「ギュナイドゥン!(おはよう)」「テシェキュレデリム!(ありがとう)」など、トルコ語をおりまぜながら話すトルコ人は強烈! タイトルの 「ギュレギュレ!」は、「さようなら」という意味なんですよ。

 
 べつべつに読んでも楽しめますが、一緒に読むとおもしろさ倍増です。カバーをはずすと装丁が似ていて、この2冊が姉妹編であることがわかります!

上の赤色が『空で出会ったふしぎな人たち』、下の緑色が『ギュレギュレ!』。


 わくわくする作品を数多く手がけている斉藤洋さん。この2作品はその中でもとびきりふしぎです。このカオスな世界に、あなたも足をふみ入れて
みませんか

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今日の1さつ

病院の待ち合い室でこの本に出会い、子ども達が大大大好きになりました。痛いことは誰でも辛いことだけれど、治すためにがんばろうというメッセージが小さな子どもの心に響くようです。予防接種の際に「少し痛いけど必要なことだからがんばろう!」そんな時に子どもに読んであげたい1冊です。(3歳、8歳・お母さまより)

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