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編集部だより

エリオに会いに、キューバへ! 〜「世界のともだち」みんなのいま〜

2026.07.29

世界のこどもたちの暮らしをおいかけたシリーズ「世界のともだち」。取材をした当時は小学生だった主人公たちも、もうすっかり大人になっています。『キューバ 野球の国のエリオ』の巻を担当してくださった八木虎造さんが、キューバにふたたび訪れたときいて、原稿を寄せてもらいました! エリオ、大きくなってます!

2025年12月、僕は10年ぶりにキューバ行きの飛行機に乗りました。エリオに会いに行くためです。

みなさんは、エリオのことを覚えていますか?「世界のともだち キューバ」で元気いっぱいな日々を送っていたあのエリオです。取材当時10歳だった彼は、勉強と外遊び、そして何より大好きな野球をして毎日を過ごしていました。

大人になったら地元の職業野球(日本のプロ野球みたいなもの)のチーム「ビジャクララ」に入りたいと夢見ていたのです。

取材当時のエリオ。団地の中庭でいつも野球をして遊んでいました

そのエリオが、なんと10年後にその夢をかなえて地元の球団「ビジャクララ」に入団したというニュースが舞いこんできました。それだけでなく、さらに公式戦の初打席でホームランを打ったというのです。これはキューバ野球では初の記録だそう。その後も試合に出場し続け、打撃や守備だけでなく、チームでいちばん足の速い選手として活躍していて、キューバのソフトボール代表選手にも選ばれたそうです。そんなエリオにふたたび会いたいと思い、僕はキューバに向かったのでした。

キューバの首都ハバナから東へ約290キロ。キューバ島の中央部に、エリオの住んでいるサンタクララがあります。サンタクララに到着したら、さっそくSNSを使ってエリオに連絡をして待ち合わせ場所を決めました。10年前はキューバの人たちはほとんど誰も携帯電話を持っていなかったので、エリオに会うには、郊外にあるエリオの家まで歩いて行って、会えるまで待つ、ということしかできなかったのに、今は誰もがスマートフォンを持っていてすぐに連絡ができます。とても便利になりました。

待ち合わせ場所に現れたエリオは、すっかり大人の顔立ちになっていて声も太く、アスリートらしく筋肉隆々でした。でも、笑顔が子どものころのエリオそのもの。すぐに彼だと分かりました。ホテルのバーに移動して、エリオがおごってくれたビールで2人で乾杯しました。

再会したエリオ。大人です!

エリオの家族にも会いに行きました。エリオは今もお父さんとお母さん、妹の4人で一緒に団地に暮らしています。

お母さんの作る料理はあいかわらずおいしくて、スパゲティとプリンは今でもエリオの大好物だそうです。そして漁師のお父さんが獲ってきた魚を食べられる日は近所の人たちや、野球のチームメイトも食べに来てパーティーになります。キューバでは魚は高級料理なんです。

妹のエリアネは中学生になりました。アクセサリー作りが得意で、勉強もがんばっています。

「世界のともだち」の本を大事にしてくれていました。左が妹のエリアネ、真ん中がお父さん

子どものときによくしていた、お気に入りのポーズ

エリオが野球選手になれるように、家族や近所の人たちをはじめ、子どものころの野球コーチたちまで、みんなが色々とサポートしてきたので、彼が選手になれたときは、みんなで大喜びしたそうです。

地元で試合があるときはみんなそろって応援に行くというので、野球場につれていってもらいました。平日のお昼すぎという時間にもかかわらず、たくさんのお客さんが「ビジャクララ」を応援していました。週末の試合ともなるとお客さんは満員になるそうです。この日のエリオは、得意の走塁でお客さんから大歓声をあびていました。

エリオの所属するチーム「ビジャクララ」はビジャクララ地方で生まれ育った選手たちで構成される職業野球チームです。キューバの野球少年たちはみんな、地元の職業野球チームに入団することを夢見ますが、実際に入団できる選手は本当にわずかです。

うれしいことに、10年前にエリオのチームメイトだったチェオも、下部チームでの活躍が認められ、そろそろ「ビジャクララ」に入団できそうだとのこと。職業野球入りした選手たちは、地元のスターとして扱われていて、エリオも子どものファンたちからサインをせがまれていました。

いま、キューバの経済状況はとても悪く、さらにガソリンや電気も不足しています。たびたび停電があるほどです。職業野球の試合はキューバ中で行われ、ふつうはバスに乗って遠征に行くのですが、ガソリンが不足しているせいで予定通り遠征を行えないこともあります。

また、電力が制限されていて、ナイターの照明が使えないので、試合はほとんど昼間に行われています。エリオが野球選手として国からもらえる給料もとても少ないそうです。でも彼は毎日ハードなトレーニングをして試合にそなえています。

エリオの今の夢は、キューバで大活躍して、いつか日本の野球チームに移籍することです。

エリオの家族。家族はいちばんの応援団

写真・文 八木虎造

◎本の製作当時の取材日記もあわせてどうぞ!
野球の国、キューバ
エリオの団地生活
本を持って台湾へ!
取材こぼればなし

 

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