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絵本&読み物案内

幻の写真絵本が待望の復刊。文・谷川俊太郎×写真・川島小鳥『うつくしい!』

2026.09.07

1983年に刊行され、長らく入手困難となっていた幻の写真絵本『うつくしい!』が43年ぶりに復刊。詩人・谷川俊太郎さんの文章に、写真家・川島小鳥さんの写真をあらたに構成しました。

〈美しさ〉の本質を照らし出す写真絵本

 美しいとはなにか。人はどのようなときに、美しいと感じるのか。谷川さんは、世界にあふれるさまざまな〈美しさ〉を、注意深く、鋭いなまなざしでとらえます。

なぜ にんげんは、
なにかを うつくしいとおもうんだろう?
そのりゆうは、だれにもわからない。
だが、だれにでもなにかを うつくしいと
かんずるこころが あるということは、
すばらしい。

うつくしいもの、それはなにも
とくべつなものじゃない。
まいにち、まいにち、
わたしたちは きづかずに、
いろんな うつくしいものに
とりかこまれて くらしてる。

 谷川さんが綴る文章に、人の暮らしに息づいたさりげない美しさを切り取った写真が寄りそいます。

「なにを うつくしいと おもうかは、そのひとの じゆうだ。うつくしさは、ひとに おしつけることが できない。」

 という一文にはっとさせられるのは、他人のものさしで美しさを判断してしまっている場面があることに、私たち読者が気づくからでしょうか。

 写真は、川島さんがコロナ禍に撮りためたものを中心に、デザイナーの山野英之さんがセレクトしました。

 虹や木漏れ日など、だれの目にもわかりやすい美しさをとらえた写真がある一方で、流し台に置かれたマグカップ、雑然と丸まった布団、捨てられた蛍光灯などの、日常のなかにある何気ない風景を切り取った写真も。谷川さんの文章と川島さんの写真のあいだにある少しの距離感が、本作を絶妙なバランスで成り立たせています。

43年ぶりの復刊

 本作の元となった写真絵本『うつくしい!』(谷川俊太郎 文/塚原琢哉 写真 日本ブリタニカ)は、「ブリタニカ絵本館ピコモス」シリーズ(全25巻)の最終巻として、1983年に刊行されました。

 「ブリタニカ絵本館ピコモス」は、絵本というメディアの可能性を信じてつくられた壮大なシリーズで、谷川さんは小説家・小松左京さんとともにシリーズ全体の監修をつとめました。

 なかでも、谷川さんがもっとも熱心に制作したという一冊が、この『うつくしい!』ですが、訪問販売向けのシリーズとしてつくられたこともあり、長らく入手困難となっていました。

 今回の復刊では、日本ブリタニカ版のために書かれた谷川さんの文章はそのままに、『おやすみ神たち』(ナナロク社)での共作をはじめ、谷川さんと親交の深かった写真家・川島さんの写真をあらたにセレクトし、全体の構成を一新しました。

 私たちのものの見方は時代とともに変化していきますが、谷川さんの言葉は今もなお〈美しさ〉の本質を照らし出し、私たちの目をひらかせてくれます。ぜひお子さんといっしょに読んで、身近な〈美しい〉ものを探してみてください。

 

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