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絵本&読み物案内

戦争のない世界はつくれるはずだ––––ヒトの進化の道すじから、戦争と平和を考える『ぼくたちは、あらそうために生きるのか?』

2026.08.10

『ぼくたちは、あらそうために生きるのか?』は、ゴリラ研究で世界的に有名な霊長類学者の山極寿一さんの文章に、旭山動物園で長年にわたり飼育係を務め、現在は絵本作家として活躍するあべ弘士さんが絵をつけた絵本です。戦争のニュースがとびかう昨今、戦争について、平和について、ヒトの進化の歴史から問いかける一冊です。

ヒトが進化のなかで得た、共感の力

 本作は、ゴリラ研究の第一人者として知られる山極寿一さんが、子どもたちに未来への希望を語りかける絵本です。長年の研究からあきらかになったゴリラとヒトが共通にもつ特性からはじまり、現代の人間が築いている社会への考察を、わかりやすい言葉でつづります。

 今から700万年前に、木から降りて二足歩行をする生き物として進化した私たちの祖先は、多くの猛獣がいる草原で、「速く逃げられない、木にのぼれない」、圧倒的に弱い存在になったこと。そんな環境で生きのびるために必要不可欠だったのが「仲間たちのたすけ」––––食べ物を分け合ったり、複数の家族で集まってともに子どもを育てたりすることだったこと。

 こうして互いに寄りそい合いながら生き、進化を重ねるうちに、ヒトは、宝物のような力、あいての気持ちをわかろうとする「共感の力」を得たといいます。

ヒトは戦争を終えられないのか?

 現代に生きる私たちは人間は、歴史を振り返っても、日々目の当たりにするニュースからも、争いのない世界をもはや想像することが難しい状況にあります。ですが、山極さんは本のなかでこのように書いています。

「生きるためにヒトがあらそうのは、生きものとしての本能だから、戦争は終わらない、という人もいる。でも、はたしてそうだろうか?」

 私たちの祖先がヒトとして歩んだ700万年の歴史のなかで、戦争の歴史はわずか「1パーセントにも満たない」のだそうです。山極さんは、ヒトがこれほど繁栄し、現代まで生きながらえるのに大きな役割をもったのは、その1パーセントにも満たない「争いの歴史」ではなく、わたしたちのもつ「共感の力」だったのでは、と問いかけます。

「あいての気持ちをわかろうとする共感の力が、ぼくたちヒトの本能であるかぎり、いつかきっと、戦争のない世界をつくることができるはずだ。」

 私たち人間が長い進化の歴史の中でどのように生きてきたかに焦点を当て、平和のために今できることについて語りかける一冊です。ぜひ多くの方に絵本をお手にとっていただき、共感の輪が広がっていきますように。

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