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編集部だより

子どもと病院と

2023.03.08

『げんきになったよ こりすのリッキ』(竹下文子 文/とりごえまり 絵)は、長い入院生活を経て学校にもどったこりすのリッキが、学校生活で少しずつできることを見つけて、元気になっていくようすを描いた絵本です。本作が生まれたきっかけや、アフターホスピタル(子どもの退院後の社会復帰)、子どもたちが入院する病院のホスピタルアートについて、お話しします。

こども病院の図書室で長年司書をしてらした塚田薫代さんから、アフターホスピタルの話をうかがったときは驚きました。

初めてこのことを知ったときに、同じ衝撃を感じたという塚田さん。退院の日、笑顔で送り出した子が、その後の学校生活などで、苦労しているというお話でした。体力もなくなって、以前はできたことができなくなっていたり、勉強も遅れているので、不安も感じてしまうなかでの学校生活。そんな子どもたちのために、何か力になる本ができないでしょうか? 

そうご相談を受けて始まった絵本でした。 その後、竹下文子さんにお話して、リスを主人公にした原稿ができあがり、絵をとりごえまりさんにお願いして、となったのですが、途中考えこむことも多く、結局最初に私が塚田さんからお話を伺ってから、何年もかかって、ようやくこの絵本はできあがりました。

現場にいらした塚田さんの思いに加えて、偶然にも竹下さんもとりごえさんも私も、大きな病気での入院経験がありました。だからいろんな思いが一致した、わかっていたことがあったとも思いました。

いつもの生活を離れなくてはいけない状況になるというのは、大病だけではなく、いろんな場合があるでしょう。しばらく休みたくなることもあるかもしれません。でもいったん離れてしまうと、戻るときには尻込みしてしまったりもします。

以前は簡単にできていたことができなくなって、それができるかな? と挑戦して、それができた時の喜びは大きな大きなものだと思います。3人の思いは一致しました。だから、3人とも一番力が入ったのは、「もう きのぼり できるかな?」と、退院後しばらくして、リッキが木を見上げるシーンでした。

竹下さんは、たった1行に、そんな思い全部を込めてくださいました。とりごえさんからは、ここの絵の色が原画どおりに出るようにと、何度もお願いされ、色校正を繰り返しました。一番大事なシーンですからと。印刷所の方も、応えて力を注いでくれました。

竹下さんはおっしゃいます。

絵本は子どもだけのものではないと、わたしは思っています。 だれでも、いつでも、自由に入ってきて、遊んだり、休んだりできる場所。 小さい人も、大きい人も、いま元気な人も、ちょっと元気じゃない人も、 入院したことがある人も、ない人も……

読み終えて本を閉じたとき、「リッキ、よかったね」って、 笑顔になってもらえますように。

そして、病気とたたかっている人たちが、一日も早くもとの生活に もどれますようにと祈っています。

リッキのように、入院を経験した人にも、友だちにリッキのような子がいる人にも みんなに読んでいただきたい絵本です。

*クイズです!

この絵本のなかには、ずうっとリッキを見守ってくれている誰かがいます。 それは誰でしょう?

*おまけの話

大きな病院の小児科病棟には、ホスピタルアートといって、壁面に楽しい絵が描かれているところがあります。絵本作家さんが活躍されている病院も!

とりごえまりさんは、石川県内のある総合病院に、こんな魅力的な絵を描いていらっしゃいます。

小児科外来の待合室。枠の中の絵は、季節によって変わるみたい!

入院病棟。

病室ドアの丸窓には、リッキがいた?! 

こちらは、竹下文子さんとのコンビの絵本『ピン・ポン・バス』でお馴染みの鈴木まもるさん。 東京のある大学病院の小児病棟です。 壁に絵を描く、鈴木まもるさん!


こんな絵があったら、入るのも怖くない?

歯を磨くのも楽しくなりそうですね。

ここに入院していた子が、鈴木さんの講演会にきて、「入院中、絵で、とても嬉しくなった」と言ってくれたこともあったそうです。 子どもたちが怖くなったり、寂しくなったりしないように、あったかい気持ちが伝わるように、おふたりとも心を込めて描いていらっしゃいます。 詳しくは、おふたりのブログをぜひごらんください。

とりごえまりウェブサイト(2017年に記事があります)
※『げんきになったよ こりすのリッキ』について書かれた記事はこちら

鈴木まもる 草刈り薪割り日記(2014年に記事があります)

(編集部 M.C)

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アニメを見て好きになりました。ふしぎ駄菓子図鑑がお気に入りで何度も眺めて楽しんでいます。猫が好きなので、墨丸と金色の招き猫たちが出てくるとはしゃいでいます。ホーンテッドアイスとドクターラムネキットのおはなしが好きです。娘が夢中になっている様子を見るのは楽しいです。(7歳・お母さまより)

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