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編集部だより

はじまりは、著者が娘さんにつくった手作り絵本! ロングセラー『じゃあじゃあびりびり』

 こんにちは、編集部の千葉です。今回はファーストブックのロングセラーといわれる『じゃあじゃあびりびり』(まついのりこ 作・絵)について書きます。

駆け出しの編集者が目の当たりにした、著者のこだわり

 『じゃあじゃあびりびり』に携わったのは、私が編集の仕事を始めたごく初期の頃でした。当時の編集担当のアシスタントとして、本作りを手伝いました。その頃は、まだパソコンがない時代でしたから、本作りも、コピーをして、切り貼りをして、といったやり方でした。絵のコピーの上に文字のコピーを貼ります。あわせたもののコピーをまたとって、仕上がり寸法で切り、のりを使って本の形に綴じて、著者の方とめくりながら確認していきます。するとまついのりこさんが目を細めて「ここの文字はあと0.5ミリ上に上げてね」などとおっしゃるのです。「はあ? 0.5ミリですか……定規に目盛りがないですが……」と思いながらも修正を重ね(切った文字はピンセットでつまんで直します)、文字位置が決まったら、印刷所に入稿でした。校正刷りが出てきて初めて、カラーのイラストと文字が一緒になったものを見ることができるのです。なんてアナログ。

0.5ミリの位置修正に使っていたピンセット。当時の編集者の必須アイテムでした。

友人たちの出産ラッシュで実感「赤ちゃんが絵本を見る」ということ

 ともかく、そのくらいまついさんが文字位置にこだわっていらしたのは、よく覚えています。「赤ちゃんにとって、字も絵の一部だからね」と。また、めくるたびに違う色が出てくることは、大事なことだともおっしゃっていました。そうなのか~、赤ちゃんが絵本を見るとどんな感じなのかなあ、と思っていましたが、ほどなくして友だちの出産ラッシュとなり、それを目の当たりにしました。

友人の子どもお気に入りの「ふみきり かんかんかんかん」のページ。

 絵本を持って見せてあげると、じっと見て足をバタバタ。めくっていくと、そのうち手が出てきて「ハヤク、ツギヲメクレ!」と本をたたく、そしてよだれが垂れ始めるのです。本を閉じるとまた読んでいる人の顔を見上げて「モッカイヒラケ!」。すごいなあ、と思いました、ほとんど同じような反応なのです。でもそのうち友だちから「『ふみきり かんかんかん』のページばっかり開かされるのよね」とか、「『かみ びりびりびり~』っていうと、いつもニコニコするの」とか、赤ちゃんにも好みがあるようでした。

娘さんにつくった手作り絵本から生まれた『じゃあじゃあびりびり』

当時まついさんが娘さんのためにつくった手作りの『じゃあじゃあびりびり』表紙。

 この絵本はもともと、まついさんが子育てのなか、娘さんのために手作りで作られたものでした。その娘さんも「びりびりびり」のところで一番声をあげて笑っていたと、まついさんからうかがったことがあります。また「みず じゃあじゃあじゃあ」の場面ではいつも蛇口の下に手を出していたというエピソードも!

娘さんが一番笑ったという「びりびりびり」のページ。

 ちなみにこの絵本の原画は、イラストではなく貼り絵です。色紙の上に色紙を切って作った絵柄を貼ったもの。なので、よーくごらんいただくと、バックの色がぺたっとしていなくて、少しだけむらむらがあるのに気づかれるでしょうか。バックの色は印刷でいれたのではなく、色紙をそのまま製版したものです。まついさんの手作り絵本もみんな貼り絵で作られていたので、時がたつとぱらぱらとはがれ落ちてしまって、修繕しながら使ってらしたようです。

背景の色は、色紙をそのまま製版したため、色に少しむらがあります。

 先の踏切のページの好きな子は、幼児になっても「カンカン、カンカン!」とずっと踏切が好きで、お母さんは毎日のように、いろんな所の踏切に連れていっていました。いまは父親になった彼が、そのことを覚えているかどうかはわかりません。でもきっと、そのときはすごく楽しい体験をしたんだと思います。よかった。

 まついのりこさんが病床にあって自由に手足も動かなくなられた最期の頃、急に「赤い本赤い本」と言われて『じゃあじゃあびりびり』を膝の上においてあげたら、突然、全ページをめくられたそうです。娘さんたちはびっくりして思わず涙したそうです。「赤ちゃんにとっては、何もかもが未知の世界。この本をめくるたびに新しい世界との出会いがあるのよ!」とおっしゃっていたまついさん。新しい世界との出会いを改めてなさったんだなあと思いました。

(編集部・千葉)

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