『てつびん物語 阪神・淡路大震災 ある被災者の記録』
(奥野安彦/写真 土方正志/文)
釜飯が自慢の「てつびん」は、地元の人に愛される小料理屋さんでした。地震によりお店は全壊、おばちゃんも住むところを失い、仮設住宅で暮らすことになります。おばちゃんの地震後の足どりは、そのまま神戸の復興の足どりと重なります。でも、街は復興していくけれど、おばちゃんの地震との闘いはずっとつづいていました。ひとりの被災者を通して見る、阪神淡路大震災の記録です。
おばちゃんとおなじように闘った人が、いまも闘いつづけている人が、神戸にはたくさんいます。神戸だけではありません。この災害列島には、おばちゃんのような人たちの闘いのあとが、無数に刻みこまれているはずです。おばちゃんとの10年間から、ぼくらはなにを学ぶべきなのか。奥野とぼくは考えつづけています。
『地震のはなしを聞きに行く 父はなぜ死んだのか』
(須藤文音/文 下河原幸恵/絵)
次に大きな災害がおこった時、被害をすこしでもすくなくするために、私が今できることは、なんでしょうか。その答えは、今回お話を聞いた先生たちが教えてくれました。
地震に対するしっかりとした知識を身につけておくこと。自分の住んでいる土地の災害の歴史を知っておくこと。暮らしのなかに、防災を根づかせておくこと。そして、自然はおそろしいものなのだということを、私たちの言葉と文章と、傷ついた祈りの場所をもって、未来に伝えていくこと。
『地図で見る 日本の地震』
(山川徹/文 寒川旭/監修)
地震の歴史を振り返ること自体も興味深いのですが、当時の文献に残っている地震の様子から、昔の人がどう地震に向き合ってきたかもわかるのもおもしろい、とおもっています!
「地震の巣」とよばれる日本列島で暮らすわたしたちにとって、地震とどのようにつきあっていくかはとても重要な課題です。地震がかならず起き、予知できないのなら、とりくまなければならないのは、被害をできるだけ軽くする「減災」です。被害を軽くするためには、まず、その土地でどんな地震が起きたのか、昔の人たちは地震にどうむきあって、生活を立てなおしてきたのか知る必要があります。そこから、みなさん自身の命と暮らしをまもる「減災」がスタートするのです。(まえがきより)
きょうは3月11日。地震のことをもっと知りたいなあ、と思ったときに、この3冊を思い出してもらえたらうれしいです…!
(編集部 秋重)