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本のイベント

『マルコとパパ』宇野和美さん(翻訳家)×鳥井和昌さん(デザイナー)トークイベント@BOOKS青いカバ

文京区本駒込の古書&新刊の本屋「BOOKS青いカバ」にて、2月に発売された新刊『マルコとパパ』の翻訳をした宇野和美さんと、デザイナーの鳥井和昌さんのトークイベントが開催されました!

かわいらしいロゴが目印の「青いカバ」

宇野和美さんと『マルコとパパ』との出会い

 『マルコとパパ』は、アルゼンチン出身のイラストレーター・グスティが、自身の息子で、ダウン症のあるマルコのことを、父親の視点から描いたスケッチブック。最初は事実を全く受け入れられなかったという心のうちから、やがてマルコのありのままを愛するようになるまでを素直に表現した作品です。

 宇野さんが初めてこの本と出会ったのは、原書もまだ刊行前の、メキシコシティで開催されたIBBY(国際児童図書評議会)の世界大会。ちょうど上橋菜穂子さんが国際アンデルセン賞を受賞したときです。グスティはスペイン語圏では人気者のイラストレーターで、常にいま取り組んでいることが注目される作家だそうです。そして、この本を編集したダニエル・ゴールディンもやはり、スペイン語圏の出版界では一目置かれている存在で、彼が編集したものなら間違いないという評価のある方だとか。大会のパネルディスカッションで『マルコとパパ』のプレゼンを見たとき、そのふたりが組んだ本なのだから、きっといいものなのだろう、と宇野さんも確信したそうです。

右が原書、左下が日本語版

 宇野和美さんが翻訳して刊行した作品は、8割がご自身がみつけてきた本なのだとか! スペイン語圏の出版物は、エージェントから出版社に紹介されることが英語圏のものよりずっとすくないので、自然とブックフェアなどで自分でみつけてくることが多くなるのだそうです。自分が出したいと思った本を訳すことができるなんて(道のりは決して簡単ではないと思いますが)、夢のようですね!

本をみつけてから刊行するまでの流れと関わる人を、説明する宇野さん

デザイナー・鳥井和昌さんのおはなし

 『マルコとパパ』は内容もすばらしいけれど、デザインもすごくいい!という感想を多くいただいています。

 その気になる本書のデザイナーが、今回の対談相手の、鳥井和昌さん。「せっかくならスペインの文化圏への理解がある方にやってもらいたい」という宇野さんの提案で、個人的にラテンアメリカに興味があり、少しスペイン語もお分かりになるという鳥井さんにお願いしたところ、快諾いただけたのだそうです。

 原書はグスティが小さな手帳40冊分にもなるマルコとの生活のスケッチがもとになっているので、文章もほとんどが手書き、また画材もその場その場で近くにあったもので描いているので、色や濃淡もさまざまだったそうです。ただ、すべてを描き文字の日本語で表現するのは難しいので、いかに原書のイメージを引き継ぎながら、活字と描き文字のバランスを保つかが課題だったそう。

 こちらは冒頭の「神さまなぜですか」の言葉の描き文字。左が鳥井さんが描いたもので、何パターンもの字が描いてあります。実はほかにも、宇野さんの息子さんや、編集部員のお子さんなど、さまざまな方が、描き文字に協力しています!

 こんなに分厚い本をデザインするのはどんなに大変だったか……と思うのですが、広告畑ご出身の鳥井さんは「広告の大変さに比べたら!」ということで、楽しみながらデザインした、とお話しされていました。

この1文からはじまった、『マルコとパパ』

 グスティはマルコをテーマにした原稿を、なんども描いてはやめ、また描いては消しを繰り返してきたそうですが、冒頭のこの文章を一晩かけて、泣きながら書いたことで、そのあと一気に描き上げることができたのだそうです。

ときどき 子どもについても
絵とおなじことがおこる。
できたものが イメージとちがうことが。

絵ならやぶりすてられる。
消して、もういちど かきなおしてもいい。

フォトショップでレタッチして、
すきなように修整だってできる。

だけど、子どもは……

ほんものの子どもは そうはいかない。

マルコのことは、そういうことだった。
おもってたのとちがう子が うまれてきたんだ。

マルコは 予定よりはやくやってきた。まえぶれもなく……

ぼくはうけいれられなかった。

 宇野さんご自身も、この文章の訳はなんども考えては消し、考えては消し、本が完成に近づいてからもまた修正をいれ、最後の最後でしっくりくる訳文ができたのだとか。この文章の本全体における大切さや、生み出したグスティの気持ちが共有できたとおっしゃっていました。

 作者ならではの言葉で正直な心のうちを語った、勇気ある一文です。グスティはマルコを育てるようになってからさまざまな考え方が変わり、むかしだったら失敗したと思った絵も、それも個性だととっておくことにしたのだそうですよ。

 『マルコとパパ』については、「今週のおすすめ」コーナーでも詳しく紹介していますので、ぜひごらんください。まだまだイベントも続きます(下記リンク先でご紹介しています)!
http://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/s/osusume/osm180213/

 

(販売部 宮沢)


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今日の1さつ

おかしがたくさん、おいしそうに描かれており娘は楽しそうに読んでおりました。親の私は、前作では小さな子どもだった4羽の子がらす達が大人になり、独立していく姿に感動して涙が出ました。(2歳・お母さまより)

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