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偕成社文庫100本ノック

第51回

北風のわすれたハンカチ

『北風のわすれたハンカチ』安房直子 作/牧村慶子 絵

 物語には色がある。

 表題作「北風のわすれたハンカチ」は、山の中にたったひとりで暮らすクマの物語。
 家のとびらにはこんな紙が1枚。「どなたか音楽をおしえてください。お礼はたくさんします。クマ」
 最初の1文で一気にその世界へ引き込まれ、その後の1文でクマの孤独が一気に伝わってくる。こいつが近くに居たら「クマぁ~」って叫んで抱きついてもふもふしたくなるような場面が続く。

 なんと静かで、なんと深い物語なのだろう。
 読み終わった後もしばらく北風の音が聞こえるよう。
 まさに(英語の)fantasy ではなく(ドイツ語の)Märchenそのものである。
語られる言葉は少ない。その少ない言葉のひとつひとつに、その何十倍もの背景がうっすらとすけて見える。こんな作品に出会ったのは久しぶりだ。

 この本には短い3つの物語が収められている。
 どこまでも透き通った白と
 深くて暗い森の緑、
 そしてキラキラと陽光にきらめくような赤だ。
 そしてそれぞれ、反対側に別の色が隠れている。

 静かな部屋で、できれば一人で読んで欲しい作品。
 一番好きな紅茶を1杯、手元に置いて。

(販売部 西川)

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今日の1さつ

表紙の絵やとちゅうの絵がかわいいのでレンちゃんや高田さんの気分になれて本の中の世界にすいこまれるのでドキドキハラハラしておもしろかったです。(9歳)

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