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編集部だより

今年出会った、いもむし・けむし

2018.12.19

 こんにちは! 編集部の刑部(おさかべ)です。
 
 いやいや、今年もなんだかんだと言っているうちに、暮れが押し詰まってまいりました
 今年も、いろんなことがあったなあ!なんだか仕事ばかりやっていて(ウソです)、苦しいことが多かったなあ(まあいろいろね)・・・なにか楽しいことあったかな・・・
 
 楽しいことのひとつは、朝四ツ谷駅から市ヶ谷の会社まで歩く通勤自然観察。
 それでは今回は、この一年間のしめくくりとして、僕が今年出会った、いもむし・けむしたちを紹介しましょう!
 
 「そんな気持ちわるいもの、イヤーッ!」という声が聞こえてきそうですが、僕の編集部だよりを読もうとしているあなたは、すこしは興味あるでしょ?
 いまはスマホがありますからね、出会ったらいつでも、写真も動画も撮れるから便利です。
 
 1つめはこの動画の、いもむし。
 
 
 時期は5月中旬、場所は外堀通りの歩道の植え込みのウマノスズクサという草。
 葉っぱの茎を食べまくっています。黒い体に、超トゲトゲというか、イボイボ。先っちょが赤いイボイボも。なんとも、はでないもむしですね・・・
 ちょっと昆虫を知ってる人なら、これは何の幼虫か、わかりますよね。昆虫の多くは、食べる植物が決まっていて、その植物を「食草」といいます。ウマノスズクサを食べる幼虫、といえば、ジャコウアゲハです。
 成虫はこちら。成虫の色も黒赤が基本になっていますね。
 

ジャコウアゲハ(石垣島にて)

 
 
 2つめはこの写真の、いもむし。
 
 
 時期は6月下旬、場所は会社がある道の歩道におかれた、鉢植えのミカンの木の葉っぱ。
 緑色の新幹線(ちょっと太めですが)のような体、目玉もよう。
 これはみなさん、おわかりでしょう。あまりにも定番、アゲハ(ナミアゲハ)の幼虫ですね。これは終齢(5齢)幼虫。
 成虫はこちら。
 

ナミアゲハ(外濠公園にて)

 
 3つめはこの写真の、いもむし。
 
 
 6月下旬、場所は2つめのいもむしと同じ木の葉っぱにいました。
 同じアゲハ(ナミアゲハ)の幼虫で、こちらは4齢幼虫。体のもようは鳥のふんに擬態していると思われます。
 
 4つめはこの動画の、いもむし。
 
 
 時期は7月中旬、場所は外濠公園のケヤキ(あるいはエノキ?どちらもニレ科)の木の幹動画の音声には、夏の外濠公園名物、ミンミンゼミの鳴き声もしっかり入っています。
 でっかい、全身緑色の体で、えっちらおっちら、幹をのぼっていきます。のぼっている、ということは下がおしり。よく見ると、おしりにアンテナがついていますね。おしりにアンテナの幼虫は、スズメガのなかまの幼虫ですが、じつは全身緑色の種はたくさんいて、どれも似ています。
 ここで重要な手がかりは、幼虫がいた木。ケヤキはニレ科の木ですが、スズメガのなかまで、ニレ科の葉を食べるのは、ただ1種類です。ウンモンスズメ、というスズメガです。
 成虫はこちら。はねの表側がモスグリーンの濃淡の、とても美しいガですよ。
 

ウンモンスズメ(外濠公園にて)

 
 5つめはこの写真の、いもむし。
 
 
 時期は8月上旬、場所は1つめのいもむしと同じところ。
 1つめと同じ、ジャコウアゲハの幼虫ですが、こちらは体が少し小さいです。中齢幼虫ですね。そして全体に赤っぽいのは、個体差でしょうか。
 
 6つめはこの動画の、いもむし。
 
 
 時期は9月上旬、場所は会社近くの住宅街の路上。
 うわー歩く仕草が圧倒的にカワイイ。まるで、しっぽを振って寄ってくる、黒いダックスフントのようです。クゥーンクゥーンという声が聞こえてきそう・・・
 おしりにアンテナは、スズメガのなかまの幼虫でしたよね。この場合、食草という手がかりがないのですが、
黒い胴体に黄色のすじや、赤い目玉もようがならぶのは、セスジスズメという種類です。
 成虫はこちら。
 

セスジスズメ(会社近くの住宅街にて)

 
7つめはこの写真の、けむし。
 
 
 時期は9月上旬、場所は外濠公園内の垂直なコンクリートの壁。
 黒い胴体に、規則的に生える黄色の毛の束。うーん、色といい毛の生えかたといい、なんともかわいくないのですが、個性的ともいえます。
 これは、モンクロシャチホコという、ガの幼虫。サクラの葉っぱなどを食べるそうです。そういえば、この壁の上にはサクラの木が立っています。
 成虫はこちら。
 

モンクロシャチホコ by コミスジ空港

 
 8つめはこの写真の、いもむし。
 
 
 時期は9月中旬、場所は外濠公園の四ツ谷駅近く。
 あれ、どこかで見たような?黒い胴体に目玉もよう、おしりにアンテナは、6つめのセスジスズメの幼虫に似ていますね。でも、あっちは7〜8センチ、こっちは4センチぐらいで小さく、目玉もようの感じも少しちがうというか・・・
 いやいやそうですこれもセスジスズメの幼虫。これは3齢幼虫で、6つめのは終齢幼虫です。
 
 さて、最後を飾る9つめはこの動画の、けむし。
 
 
 時期は9月中旬、場所は外濠の土手の柵の手すり。
 出たあ!これぞ、けむし!という感じで、側面が白っぽく、背面が黒っぽい胴体に、白くて長い毛がバサバサと生えています。
 これは、アメリカシロヒトリという、ガの幼虫です。この名前、聞いたことがあるでしょう。果樹や街路樹の害虫として名を知られています。1945年に東京で発見されて以来、全国に分布を広げたガで、幼虫は100種類以上の植物を食べるといわれています。
 成虫はこちら。
 

アメリカシロヒトリ by TampAGS

 
 さあ、お楽しみいただけましたか。
 みなさんも、お散歩の途中などに、いもむし・けむしを見つけたら、スマホで写真に撮ってみませんか。そして、おうちに帰ったら、図鑑やネットなどで、種類を調べてみましょう。
 
 僕も、いかにも昆虫にくわしそうに、こんなブログを書いていますが、こうして写真に撮って、「これ、何の幼虫だろう?」と、図鑑やネットで調べるうちに、おぼえたり、くわしくなったりするのです。
 いもむし・けむしを見て、「これ、〇〇の幼虫だよ」なんて言えると、ちょっとカッコイイと思いませんか。
 
 いもむし・けむしを写真に撮って、何の幼虫か調べたいあなたには、僕が担当した以下の本がオススメ。
 
せんせい!これなあに?
❶いもむし・けむし
 
 「せんせい!これなあに?」のシリーズは、生きものや植物にくわしくなくても、「木のえだにそっくり」「毛がたくさん」「とげとげ」など、見た目の特徴で名前がわかる図鑑です。特徴別にわけてならべた写真を見てさがせば、自分で見つけた生きものや植物の名前がずばりわかります。巻末には解説も収録しています。
 シリーズには、こんな巻もあります。
 
せんせい!これなあに?
❷海の生きもの ❸木の実・草の実 ❹野原の葉っぱ ❺おち葉 ❻生きもののサイン
 
 では、またお会いしましょう!
 
(編集部 刑部 聖) 

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