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偕成社文庫100本ノック

第25回(プレイバック中!)

むらさきいろの童話集

2018.05.15

『むらさきいろの童話集』
アンドリュー・ラング 編著/ 川端康成、野上彰 編訳

 皆さんには、自分のはこれ、という色はありますか?
 わたしは自分の色、というと、好きなのは青色で、可愛いピンク系も悪くないなと思うのですが、今回ご紹介するのは、そのどちらでもない色、”むらさき色”がタイトルについた本です。

 偕成社文庫の中のシリーズ・「ラング世界童話全集」の1冊、『むらさきいろの童話集』には、フランス、ベルギー、スカンジナビアの昔話が全部で11篇入っています。

 中でもわたしが好きなのは、「十二人のおどる王女」というお話。美しくて聡明な十二人の王女の姉妹たち…それだけでなんだか素敵!とわくわくしますが、さらにこの王女たちには、謎があります。夜、十二のベッドが並ぶ鍵のかかった部屋にそろって入り、朝まで一度も出てこないのに、朝がくると王女たちの靴は、ボロボロになっているのです。いったい夜中に何が行われているのでしょう?(タイトルで分かっちゃうよ、と侮るなかれ!秘密は奥深いのです)

 王女たちの秘密、それを追う主人公の機転のきいた行動…昔々のお話でも、ページをめくるドキドキは古くなりません。
 とつぜん魔法が使われるなど、ええっ、そんなのあり?というファンタジックな設定も、読んでいるうちにすうっと心に馴染んでしまうから不思議です。
 現代まで語り継がれてきたのは、そんな魅力があるからなのかもしれません。

 実はこの「ラング世界童話全集」には、様々な(少し変わった)色が全部で12色そろっています。それぞれに世界の昔話がぎっしり。
 色がお話の中身に関係しているわけではないのですが、巻ごとに色が決められていると、単なる「昔話集」より、楽しくて特別な感じがします。

 小学生の時にこのシリーズを通して読みながら、好きになるのは「そらいろ」か「さくらいろ」がいいなぁ、と思っていたのですが、「うむ、これが面白い」とわたしのお気に入りになったのは、この「むらさきいろ」でした。しぶい。(でももっとしぶい色もいくつかあるんですよ)
 あなたが面白いと感じる、自分に合うのはどの色の本でしょう? 読み比べてみると楽しいですよ。

(販売部 松野)

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