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作家が語る「わたしの新刊」

しろいくうき、霧がもたらすものとは?『しろいくうき』高橋潤子さん、北谷しげひささんインタビュー

2026.08.05

森の中、朝、目覚めたクマが出会ったのは、ただよう白い空気。その白い空気が、森の木々、木の実、鳥、動物たちをつつみこみ……。森中が霧に包まれたとある朝を描いた『しろいくうき』の著者で、ご夫婦の高橋潤子さん、北谷しげひささんにお話を伺いました。

霧を題材にした幻想的な絵本です。お住まいのたんささやまは、霧が多い地域と伺いました。

はい。丹波篠山は兵庫県の中部にある小さな盆地の町です。兵庫県の太平洋側の神戸から北上していくと、山地のてっぺんに篠山盆地があります。そして、その篠山盆地からさらに北へどんどん下っていくと、日本海に到達します。つまり、篠山盆地はお山のてっぺんにある小さな盆地なのです。そのお盆のへりにあたる周りの山は低くのどかで、雲のない日の夜には空から冷たい空気が降りてきます。そして気候条件が合えば、その小さなお盆のような町に真夜中から早朝にかけて霧が発生し、早起きした子どもたち、もちろん大人たちをもワクワクさせるのです。(高橋)

おふたりにとって、霧はどんな存在ですか?

朝、霧が出ていていちばんうれしいのは、もちろん景色の美しさです。そして、その日は必ず晴れるといううれしさで、朝から元気が出てきます。気持ちがとても明るくなります。学生時代、朝、学校に行くバスを待っていたら、真っ白い空気の中から突然バスが現れてびっくりしました。自転車で学校に通うともだちは、学校に着く頃には、前髪や、まつ毛に小さな水の粒がびっしりついてたと言います。
何十年ぶりかに帰ってきた丹波篠山は、ほとんどなにも変わっていないように思えますが、四季の山の移ろいや、そこに住む動物たちの様子は、私の小さかった頃からは激変しています。でも、霧は昔のまま。自然や動物、そして植物にとても優しいのです。そして、霧の絵本を作っていることを丹波篠山の友人たちに言うと、「霧のおかげでおいしい黒豆ができるのよね」と、みんな口をそろえて言います。(高橋)

ぼくは、ずっと都会に暮らしていたので、ボーイスカウトの活動で森の中にキャンプに行った時くらいしか霧を見たことはありませんでした。
高校生のシニアスカウトの頃、世界ジャンボリーが富士山麓の朝霧高原であり、朝霧と言う名前の通り、朝に霧が立ちこめていた思い出があります。幻想的で美しいと感じました。(北谷)

美しいだけではなく、存在の不思議さ、環境に与える影響力、そして子どもたちに、遊び心やいたずら心をわかせてくれる魔法使いのような存在の霧。雲でも雨でもなく、それは霧というんだよと、いうことを絵で知ってもらえたら、と。(高橋)

丹波篠山に3年半前に移住し、実際に暮らしてみて、朝起きた時に立ち込めている霧を、本当に美しいと感じました。絵本を作るにあたり、この美しさを都会の子どもたちにも感じてもらいたいなぁと思いました。(北谷)

まるで動物たちとしろいくうきの中にいっしょに迷い込んだようなふしぎな没入感のある絵です。どのように描かれているのでしょうか?

基本的に最初は、水彩絵の具と筆やオイルパステルなどのさまざまなアナログ画材で描いています。それをパソコンに取り込み、画面構成しながら完成させています。

ぼくが大学で教鞭を執っていた時の研究テーマが『 アナログとデジタルの間に潜む新しい表現 』だったので、どんな仕事も、その思いで新しい表現を探しながら制作しています。(北谷)

 

これからどんな絵本を描いていきたいですか?

二人とも、毎日が試行錯誤です。せっかく、のどかな里山が多く残る丹波篠山に移住したのですから、森のこころ、動物のこころ、そして子どものこころに問いかけるような、やさしい絵本を作れたらなあと思います。元々はグラフィックデザイナーですので、あたたかくて、おしゃれな絵本を作れたらな、と。北谷のユーモラスな絵を生かす、クスッとわらえる可愛い絵本も作りたいですね。(髙橋)

ぼくは、広告のアートディレクターやブランディングデザインを経験してきましたので、その時に感じたものを基本に制作していきたいと思っています。ブルーノ・ムナーリやエリック・カールや堀内誠一など、尊敬する絵本作家もデザインを経験していらっしゃるので、造形的にも美しく子どもたちの心に響くような絵本を制作していきたいと思います。また、世界中で仕事をしてきましたので、その経験をからめながらなにか魅力的な絵本ができないかなと思っています。(北谷)

ありがとうございます。これからの作品も楽しみにしています!

※10月26日(月)から10月31日(土)まで、東京青山のピンポイントギャラリーで、この『しろいくうき』の原画展を開催します。お近くの方はぜひご覧になってください

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