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絵本&読み物案内

お盆ってなあに? ときかれたら読みたい!  夏の風物詩・盆おどりの1日を描いた絵本『ねこぼん』

2019.07.15

8月の恒例行事といえばお盆。お盆休み=夏休みの感覚もありますが、お盆行事、みなさんの家では行っていますか? お盆は年に一度、あの世のご先祖様と出会える日。
『ねこぼん』は、ねこのしまでのお盆と、盆踊りの1日を描いた1冊。お盆ってなあに? ときかれたら開きたい、お盆の休みに彩りを与えてくれる1冊です。
 

ご先祖様は、きゅうりの馬にのってやってくる

 舞台となるのは、「ねこのしま」。年に一度のお盆の日を迎え、たちがあれこれと準備をしています。


ねこの おぼんは
みょうみょうみょう
あのよにいった ごせんぞさんを
こんや ひとばん おむかえするで
なつの まんげつ ぼんおどり
ひいひいじいさん ひひひひばあさん
はよ あいたいなあ おどりたい
ねこの おぼんは
みょうみょうみょう

 広場の真ん中にやぐらを建て、ほおずき飾りをつくったり、きゅうりや茄子には足をつけたり、大忙し!

 このきゅうりと茄子は精霊馬といって、お盆にはかかせないもの。ご先祖様はきゅうりの馬に乗ってこの世にやってきて、なすびの牛であの世へ帰ります。「行きは急いで、帰りはゆっくり」という意味がこめられているのです。

 みんな上手にきゅうりや茄子に足をさすのに夢中ですが、おやおや、端っこの方でちょっといじけている猫がいますよ。

「おいらには おかあちゃんおらんし ごせんぞさんも おるわけない きゅうりのあし てきとうに さしといたろ…」

 この子はくろべえ。さて、本当にそうでしょうか?

夕日がしずんだら、盆おどりのはじまりだ!

 日が沈むと、ほおずきの明かりを頼りに、やってきたやってきた、たくさんのご先祖様たち。「おひさしぶり」「ごきげんさん」「あいたかったわ」「わたしもや」。久しぶりに会うこの世とあの世の猫たちが再会をよろこび、わいわい、楽しくおしゃべりをします。

 くろべえも「おいらにも おかあちゃん いたんか〜」とうれしそう。よかったねえ。

 みんなそろえば、盆おどりのはじまりです。「霊をなぐさめる」という意味をもつ盆おどり。この世のみんなもあの世のみんなも、夜が明けるまで踊りつづけます。

 ♪
 ねこのおぼんは みょうみょうみょう
 ねこはぎ ねこのめ ねこじゃらし
 ……

 まるでくるったように踊る猫たちの大迫力のシーンがみどころです。

岐阜県・じょうおどりがヒントに

 「死者も生者も森羅万象まじりあって盆おどりする絵本を作りたい」という思いで、はじまったこちらの絵本の企画。著者のはやしますみさんは、『ねこぼん』を制作しているとき、盆おどりの空気を感じるために、岐阜のじょうおどりを見に行ったそうです。

 伝統を伝えなくてはね〜とか、ふんわり優しいものではなくて「次の世代に伝えていく」キッパリ迷いのない意思。かっこよかった。明け方までつづく踊りもすばらしかった。こどもも大人も、思春期まっただなかの男子も、一生懸命踊る。(中略)大人がビシッとかっこよく楽しそうだと、こどもはふるさとが好きになるだろうなと思った。「ねこぼん」の背骨にしたかったことがハッキリ形になって見えた。

(作者自作「ねこぼん通信」*より)

 年に一度家族や親戚で集まって、ご先祖様について語り合う機会ともなるお盆。ふだんは照れくさくて聞けないような話も、聞けるかもしれません。今年は、親子でいっしょにこの絵本を開いて、お盆をむかえてみませんか?

*他にもうら話がいっぱい!「ねこぼん通信」はこちらからダウンロードできます!

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