さいたま市立漫画会館にて開催中の「おばけやさん」シリーズの作者、おかべりかさんの原画展「おかべりか展 コドモだってイロイロあります」にいってきました。おかべさんは昨年7月に、66歳の若さで急逝されました。「おばけやさん」を始め、絵本、子育てアドバイスの本など、おかべさんの言葉とともに原画が展示された会場のようすを少しだけお伝えします。
「おばけやさん」シリーズとは?
「おばけやさん」シリーズは、全7巻刊行している、お話とコマ漫画、挿絵があわさった絵童話です。
わけあって両親とはなれて暮らす小学生の男の子・たもつが、留守の間に両親のお店「おばけやさん」の主となり、地域のお困りごとをおばけとともに解決していく、というお話。
おばけの特技は、いろいろなかたちになること! お留守番、おつかい、赤ちゃんのお守りなど、ちょっとしたお手伝いから、人間にはできないような大きな仕事まで、毎回さまざまなおばけの活躍が描かれます。
はたらくおばけの元気の源はたもつの子守唄、という設定や、たもつの親代わりで一緒に住んでいる大きなうさぎポンポ(本名ポンポーソ・ミステリオーソ)の温かなハートとたくましさも魅力です。
文字が多い本は苦手という子でも気軽に読めるシリーズですよ!
会場は盆栽で有名な町にある、さいたま市立漫画会館
さて、そんなおかべさんの原画展があるということで行ってきました。降り立つのは、ターミナル駅である大宮駅から東武野田線で2駅目の大宮公園駅。ここは最近、世界的にも人気となっている盆栽で栄えた大宮盆栽村(現・さいたま市盆栽町)がある駅です。(なんで詳しいかということ、これを書いているスタッフがすぐ近くに住んでいるからです!)
その盆栽町のメインストリート、かえで通りをしばらく歩くと、みえてきました! 会場の、さいたま市立漫画会館です。
なじみ深い「おばけやさん」シリーズの主人公・たもつが、ちょっとなつかしい雰囲気の漫画会館に! まるで友だちに会ったかのような気持ちでうれしくなります。入り口をあけると、待っていたのは……たもつの親代わりのうさぎ・ポンポです!
「よく来たな」! うんうん、会いにきたよーポンポ! 思わず返事をしたくなるような、これまたとてもうれしいお出迎え。
こちらの漫画会館は、風刺漫画の元祖ともいわれる北沢楽天さんの邸宅跡なんだとか。中には、数々の漫画資料を自由に読めるコーナーや、手塚治虫をはじめとするたくさんの著名な漫画家の直筆サインもありました。おかべさんは埼玉県浦和市(現・さいたま市浦和区)のお生まれ。そのご縁で、こちらの漫画会館ともさまざまな交流があったそうです。
おかべさんが初めてストーリーを手がけた「おばけやさん」シリーズ
暑さで頭が朦朧としていたため、会場の写真をお願いして撮影させていただく……ところまでできなかったのですが、小規模な部屋の中に「おばけやさん」をはじめとした原画が壁一面に並び、見ごたえのある展示でした。
おかべりかさんといえば、子どもたちのありのままの姿を巧みにとらえた漫画絵本「よい子への道」(福音館書店)が有名ですが、いわゆるストーリーから手がけた作品は「おばけやさん」が初めてだったのだそうです。会場のパネルによると、「編集者からお話を作ってみませんか?というお話があったときに、小学生の男の子とうさぎがでてくるお話なら…と引き受けた」のだそうです。なんて具体的な!
「おばけやさん」コーナーでは、1冊ごとに本を作る前のアイデアスケッチの展示があり、今や幻となってしまった8巻目の構想スケッチも。まだまだたくさんの「おばけやさん」のアイデアがあったようです。続きが読めなくなってしまったこと、本当に残念でなりません。
ほかにも、いまのお母さんへのエールとなる子育てメッセージがたっぷりつまった「コドモの定番」(中央公論新社)、絵本『トイレのてんしちゃん』(佼成出版社)などの原画が、おかべさんの言葉の紹介とともに展示されていました。おかべさんの子どもたちへの愛情たっぷりの目線を存分に味わえる展示です。ぜひおでかけください。
おかべりか展 コドモだってイロイロあります
- 開催日時:2018年7月7日(土)〜2018年8月26日(日)
- 開催時間:9:00〜16:30
- 場所:さいたま市立漫画会館
- 入館料:無料
<おまけ>
漫画会館へおでかけついでにこちらもぜひ♪
*清香園 盆栽屋さん。他にも近所にいくつもの盆栽園があります。うつくしい盆栽ワールドをぜひ垣間見てください。
*紗瑠布 骨董屋さん。文房具からヨーロッパ家具まで幅広いアンティーク品が所狭しと並びます。掘り出し物があるかもしれません。
(販売部 宮沢)