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編集部だより

偕成社こんな本もありました(第2回)

2018.01.17

  偕成社は、今年創業82周年。
このあいだに、数多くの本が刊行されてきた。
そのなかには、時代を反映しながらも、いまとなっては、
すでに忘却のかなたとなった出版物も数多くある。
ここでは、そんな過去の作品から、「知られざる一品」を紹介していこう。
 
 今回取り上げるのは、小学校低学年むけに編集された『絵百科なぜとなに?』
という知識もののシリーズである。
この中に、ひどく興味をそそられる巻があった。
『せかい・30ねんたったら』
 
 
 刊行は、1971年(昭和46年)。
つまり、この本は、30年後の2001年、世界がどうなっているかを予言している。
著者の瀬川昌男氏は、あとがきでこう述べている。
 
『未来の予言には、本質的な困難が常につきまとっています。
それは、科学技術の発達がけっして直線的、連続的なものではないということです。
-中略-
どんなに今日の科学に立脚した妥当な予測をしたつもりであっても、
それがむしろ裏切られるのが、予測本来の宿命といえましょう。』
 過去の未来予測を、その時になって比較するのは、ルール違反である。
だが、30年前に2001年はいったいどう描かれていたのか、
無性にこの本が読みたくなった。
えーい、この際ルール違反なんかどうだっていい。
はやる気持ちをおさえて、本を開いてみる。
 
 本の構成は見開き単位で瀬川氏が質問に答える形式になっている。
『三十年 たったらどんな 家に すむのでしょう』
『町では どんな のりものが はしりますか』
 こういった質問がつづく。
さて、その内容だが、驚くべきことに、少なからず現実に近い答えが返ってきているのだ。
超音波洗濯機、食器洗い機、ビデオデッキといった家電の普及からはじまって、
高層マンション、二階建て新幹線、電気自動車、インターネットなどを予測している。
 
 たとえば
『どんな りょうりでも すぐ できるでしょうか』
という項目を見てみよう。
 
 
 2001年当時、まだスマホはなかったとはいえ、テレビ電話をインターネットに置きかえるならば、ほぼ納得がいく答えが返ってきている。
 もしかすると、瀬川昌男という人は『日本のノストラダムス』といわれていたのではないか。そのへんを歩いている超能力者や占い師は、彼の著作に足をむけて寝てはならない。
 
 ところで、一か所「おや」と思うところがあった。
『どんな せんたくきが できるでしょうか』
 ここでは、超音波洗濯機がメインに紹介されているが、その見開きの隅にあったさし絵である。
 
 
『おばあさんは 手で せんたくするのが すきです。』
 
 おそらく、瀬川氏がこの本を執筆していた1970年前後は、二層式洗濯機が主流だった
時代だ。ニットを縮ませてしまうなど、洗濯ミスも多かったのではないか。
そんなところから、このさし絵が生まれたのかもしれない。
 しかし、ここは明らかな読みちがえといってよいだろう。
 2001年当時、わたしの母親もふくめ、周囲の人々は嬉々として全自動洗濯機を使っていたのであった。
 いやいや、もしかすると、2018年現在「手洗い洗濯愛好会」なるものが、すでに存在しているのではないか……。
 未来の予言は、常に困難がつきまとっているのである。
 
 
(編集部 早坂)

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アニメを見て好きになりました。ふしぎ駄菓子図鑑がお気に入りで何度も眺めて楽しんでいます。猫が好きなので、墨丸と金色の招き猫たちが出てくるとはしゃいでいます。ホーンテッドアイスとドクターラムネキットのおはなしが好きです。娘が夢中になっている様子を見るのは楽しいです。(7歳・お母さまより)

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