1月8日(月・祝)に、『物語と歩いてきた道〜インタビュー・スピーチ&エッセイ集〜』の刊行を記念して、ジュンク堂書店池袋本店で、上橋菜穂子さんのトークショーが開かれました!
会場となったジュンク堂書店池袋本店は、2016年11月〜2017年5月まで、上橋さんが選んだ700点の書籍を並べた「上橋菜穂子書店」が開かれていた書店。熱心な読者が集まった満員の会場で、幼少期から、高校時代、文化人類学者としての活動など、たくさんの写真を紹介しながらの、トークでした。
物語の世界がいつも近くにあった幼少期。高校のときにすでに脚本を手がけていた!?
小さな頃、あまり身体が強くなかったという上橋さんは、自宅にいることが多く、その間、おばあさまから数々の民話を聞いて育ったため、気づけば物語の世界が身近にあったそうです。
中・高時代は香蘭女学校に通われた上橋さん。なかでも思い出深かったことをふたつ紹介くださいました。
ひとつは、演出、衣装、脚本、音楽とすべて自分たちのオリジナルで、劇を創作したこと。脚本を書き、主人公も演じた上橋さんはこうして作家になりましたが、役者を演じた仲間のなかには、現在、個性派女優として活躍中の片桐はいりさんもいらっしゃるのですって。
もうひとつは、大好きだった『グリーン・ノウの子どもたち』の作者、L・M・ボストン夫人に手紙を書いたところ、お家に遊びにいらっしゃい、というお返事をもらい、イギリスのお宅まで遊びにいったこと。ボストン夫人が描く物語の世界がそのままそこにあることに、大感激したそうです。上橋さんの描く物語のリアルさには、このご経験も影響しているのでしょうか。
文化人類学者としての経験、「自分が今みているものは世界の一部でしかないという」という学び
後半は、文化人類学者としてフィールドワークのために20年以上通われていたという、オーストラリアのアボリジニの方との交流のお話。氷点下の夜にも、テントの中で眠ったり、狩りに同行して、カンガルーをさばくのを手伝ったりという大変なサバイバルも共にしていたそうです。
文化人類学者として、このようなまったくちがう文化をもつ人々に深く携わったことで、「自分が今みているものは世界の一部でしかないという」気持ちを強く感じたとおっしゃっていたのが印象的でした。
物語と近い関係を幼少期から培ってこられたことに加え、上橋さんの、人一倍強い好奇心と行動力が上橋さんのいまをつくられているのですね。上橋さんの創作を読んだ上でお話を伺うと、どのご経験も、しっかりと、物語に活かされていることを改めて感じました。
トークショーに参加できなかった方も、上橋さんのスピーチのほか、エッセイ、インタビューなどを収録した『物語と歩いてきた道〜インタビュー・スピーチ&エッセイ集〜』を、ぜひ上橋さんの創作とあわせて楽しんでいただけたらと思います! 上橋菜穂子書店で選ばれた約700冊のブックリストも掲載されていますよ〜!
(販売部 宮沢)
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