icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

今週のおすすめ

スケールの大きすぎるほら話の世界へようこそ! 関西弁のユーモアあふれる連作短編集

今回は、岡田淳さんが関西弁でおくる、『願いのかなうまがり角』(田中六大 絵)からはじまる4作の連作短編集をご紹介します。おじいちゃんが孫に語りきかせる、うそのような本当のようなスケールの大きなお話のゆくえは……?

おじいちゃんがぼくにだけ教えてくれるひみつの話

 おじいちゃんは、ぼくの家の近くのアパートで一人暮らしをしています。ふたりはしょっちゅうお互いの家を行き来していますが、おじいちゃんのふしぎな話がはじまるのは、ふたりだけで何気ない会話をかわしているときです。

 たとえば『願いのかなうまがり角』の「雲の上へいった話」。その日は雨。ぼくがおじいちゃんに「雨ゆうたら どこからふってくんのん?」と聞くと、おじいちゃんは「空の上やな。」「空の上には、なにがあるのん?」「雲があるなあ。」「雲にだれかすんでたら、おもろいなあ。」と会話したところで、おじいちゃんのスイッチが入りました! 「いや、おまえもそう思たか。うん、おじいちゃんもそう思てな。まだわかいころや。雨のなかを、空の上へのぼっていったんや。」

 そうして、猛練習の末に雨の中を水泳(!?)で上へ上へのぼり、雲の上のかみなりの娘さんに出会った話がはじまります。

 『そこから逃げだす魔法のことば』の「おじいちゃんの打出の小槌」では、ぼくが「一寸法師みたいに、打ち出の小槌で背ェのばしてほしいわ。」というと、「ああ、なくしてしまわなんだらよかったなあ。」との返し……そして「京都へふらっといったとき、清水寺のうらで、拾った」(!?)という打ち出の小槌をめぐる、大冒険談を披露します。

関西弁のかけあいが楽しい!

 なんといっても、この本のおもしろさは、全編がおじいちゃんとぼくの軽快な関西弁で語られていること。ときどき、ぼくはおじいちゃんの話に、鋭いツッコミをいれますが、それもするりとかわし、かえって話は大きくなっていく様はみごと。まるで漫才のようなふたりの掛け合いが、なんともゆかいです。

 岡田淳さんといえば、日常からはじまるわくわくのファンタジーで知られますが、このシリーズは、関西で生まれ育った岡田淳さんのあたらしい一面がみられるお話集です。たっぷり入った田中六大さんのイラストもみどころが満載! 気軽な気持ちで読めるシリーズなので、ぜひみなさんも読んで大笑いしてくださいね。

この記事に出てきた本

バックナンバー

今日の1さつ

数十年も前に星野さんの本の初版を購入し、大切な宝物となりました。ちりめん教室の先生に紹介したところいたく感動して、ペンペン草の押し絵を皆で創作することになり、今も大切に飾っています。毎晩寝る前に1ページずつ読み進め、とても優しい気持ちになって眠りにつきます。天国の星野さんに感謝を伝えたいです。(60代)

pickup

new!新しい記事を読む