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絵本&読み物案内

おむすびの世界のさんかくvsまんまる、勝負のゆくえは?『おむすびころりんはっけよい!』

2020.07.20

あなたの家のおむすびはどんな形をしていますか? さんかく? 俵型? まんまる? 『おむすびころりんはっけよい!』は、とあるおむすびの世界で、いがみあうさんかくと、まんまるのおむすびのひと悶着を描きます。デビュー作となる森くま堂さんのテンポのよいお話に、ベテランの絵本作家・ひろかわさえこさんが想像力ゆたかな絵で味つけをし、ユニークな絵本ができました。


さんかくおむすびvsまんまるおむすび

 あるところに、さんかくおむすびの国と、まんまるおむすびの国がありました。同じおむすびといえど、形のちがいで何かといがみあう両者。

「みなのものー。ふじの おやまも さんかくじゃ。さんかくほど うつくしいかたちが このよに またと ござろうか?」と、さんかくおむすびの殿様が言えば……

「三角」ちょんまげの、殿様。手には「三角」のせんす。

 

「みなのしゅう。おてんとさまかて まんまるや。まんまるが いちばん えらい。」と、まんまるおむすびの殿様が民に呼びかけます。

うちわ、ちょんまげ、こちらもみごとに「丸」にこだわる、まんまるおむすびたち。

 こうして2国のいがみあいが加熱する中、塩っ気の多い(おむすびだけに!)さんかくおむすびの若者が、大胆な行動に出ます。おかか、シャケ、からあげなど、両者が共同で使っていたおむすびの「具」を育てる畑に、囲いをつくり、まんまるおむすびを入れなくしてしまうのです。

 さあ、追い詰められたまんまるおむすびたち。これは、いよいよ戦のときだ……! 殿様同士の大相撲がはじまります! 勝負のゆくえや、いかに?

森くま堂さん、ひろかわさえこさんの出会いから生まれた絵本

 この絵本は、森くま堂さんとひろかわさえこさんの出会いから生まれました。数年前にお互いを紹介され、森くま堂さんの書いたお話を読んでこれはおもしろい! と思ったひろかわさえこさん。このユニークなお話の世界を、想像力ゆたかな絵で、さらに楽しく広げました。

てんぷらが土から生えていたり、梅干しがバラのようになっていたり、みどころの多い畑。ここは唯一さんかくおにぎり、まんまるおにぎりが仲良くしている場所です。

 殿様が怒ると梅干しが落っこちそうになったり、頭に血がのぼるあまりとびちる汗も、ごはんつぶだったりと、「おむすび」の世界にこだわった、細かなあそびが楽しめます。このおもしろさが分かるのも、私たちに身近な「おむすび」という題材ならでは。よく観察すると、文章には描かれませんが、さんかくとまんまるのおむすびの間に、まるでロミオとジュリエットのような、小さなロマンスもありますよ。探してみてくださいね。

 絵本の楽しさを存分に味わえる絵本です。どうぞお手にとってみてくださいね。

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