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宮崎駿さんも影響を受けた! 愛と自由をうたいあげる名作ファンタジー『クラバート』

今回ご紹介するのは『クラバート』。「大どろぼうホッツェンプロッツ」シリーズでもおなじみの、ドイツの児童文学作家、オトフリート・プロイスラーが手がけた長編ファンタジーです。

夢に導かれてやってきたのは、不穏な空気漂う水車場

 孤児の少年クラバートは、不思議な夢の中で自分の名を呼ぶ声に導かれて、村はずれの水車場へとやってきます。そこは、親方と11人の職人がはたらく製粉工場。クラバートは12人目の弟子として、はたらくことになります。

「わしが、ここの親方だ。おまえをわしの弟子にしてやってもよい。ひとりほしいのだ。なる気があるか?」

「なりたいです」と、クラバートは自分が答える声を聞いた。その声は、まるで、まったく自分の声ではなく、他人の声のようにひびいた。

「それで、おまえはわしからなにをならいたい? 製粉の仕事か、それとも、ほかのすべてもか?」と、親方はたずねた。

「ほかのすべてもです」と、クラバートは答えた。

 水車場では、3食の食事とベッドが与えられ、それまでの暮らしと比べると、夢のような生活でした。しかし一方で、不可解なできごとが多く、不穏な空気がつねに水車場を支配しているのでした。

 製粉工場なのに、まったく見かけない客……クラバートが見た不思議な夢……夜中に起き出して製粉をはじめる先輩職人たち……。そしてクラバートは、日々を過ごすうちに、この水車場や親方の秘密を知ることになるのです。

魔法学校での日々

 クラバートが知った秘密、それは、水車場の親方が魔法使いであること。製粉工場は表向きの姿で、そこは親方が弟子をとって魔法を教える場所だったのです。

 3ヶ月間の見習い期間を終えたクラバートは、ある日親方に呼ばれました。「さあ早く、止り木にとまれ!」クラバートはいつの間にかカラスの姿に変えられており、同じくカラスの姿になった11人の職人たちにまじって、魔法の授業を受けることになりました。

 毎週金曜日、仕事を早めに切り上げたクラバートと11人の職人は、カラスの姿になって、親方から呪文を教わります。面倒見がよい職人頭のトンダや、マヌケと皆からばかにされているユーローなど、仲間同士で交流しながら、弟子たちは魔法の勉強にはげみます。クラバートは熱心に呪文を覚えるので、職人たちの中でも、めきめきと力をつけていきました。

 そんな中、ある仲間の職人の死をきっかけに、クラバートは、親方との主従関係に疑問を持ちはじめます。そして、水車場に来てから3年目のある日、ユーローから親方にまつわる秘密を教えられたクラバートは、親方の支配から逃れるために、「ある試練」を受けることを計画します……。

宮崎駿に影響を与えた名作ファンタジー

 本作は、ラウジッツ地方(現在のドイツ東部からポーランド西南部にあたる)に古くから伝わる「クラバート伝説」をもとに、プロイスラーが書き上げた珠玉の愛と自由の物語です。

 宮崎駿さんもこの物語を絶賛し、本の帯には「いい本です。自信をもっておすすめできます。」とメッセージを寄せています。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の最後、千尋がたくさんの豚の中から両親を見つけ出す試練を与えられるシーンなどは、この『クラバート』から影響を受けているとも言われています。「愛は魔法を打ちやぶる」という、多くの物語に通じるテーマがここにもあります。

 ドイツ語の地名や固有名詞など、一見なじみのない単語も多いものの、いつの間にかそれを乗り越えてしまう、読みはじめたら止まらない作品です。単行本版のほか、偕成社文庫版(上下巻)も刊行していますので、ぜひお手にとってみてください!

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