みなさん、はお好きですか? 外国の暮らしや食文化にふれられる海外児童文学には、ストーリーの他にもさまざまなおもしろさがありますね。
偕成社でも、多く海外児童文学作品を刊行しています。今回はその中でもイチオシの作品3冊と、それぞれの作品の作者についてご紹介します。
『ヒルベルという子がいた』(ペーター=ヘルトリング 作/上田真而子 訳/初版1978年)
1作目は、施設で育つ男の子の半生を描いたドイツの物語です。
『クラバート』(プロイスラー 作/中村浩三 訳/初版1980年)
身寄りのない少年・クラバートは、見習いとして働きはじめます。
独特のルールや、ほかの職人たちのどこか不穏な雰囲気に戸惑いながらクラバートは、水車場の秘密を知ります。それは、ここが親方による魔法の学校だということ。見習いの期間が終わると、職人たちはからすの姿に、毎週金曜日の夜に魔法を習うのでした。
おそろしい命令には絶対に歯向かえず、ひたすら働いて魔法の腕をみがく日々の中、クラバートはある少女に心を奪われ、生死をかけて親方と対立することになります。
『大どろぼうホッツェンプロッツ』は、ゆかいで痛快なストーリーが魅力ですが、
訳は、『大どろぼうホッツェンプロッツ』と同じく、中村浩三さんが手がけています。水車場のや季節の移り変わりが手に取るようにわかる、引き込まれる訳文です。
『不思議を売る男』(ジェラルディン・マコックラン 作/金原瑞人 訳/初版1998年)
3作目は、ふしぎなを毎話語る、連作短編集です。
身寄りがないからと、母娘が営む古道具屋に居ついて働き始めた謎の男、MCC。いつも本を読んでいて、一見さぼってばかりですが、お客がやってくると態度は一変。お客が興味を持った古道具にまつわる不思議な話を語って聞かせ、見事に古道具を売りさばいていきます。
果たしてこの男が語る話は、嘘か真かどちらなのでしょう。そして、この男の正体とは? お店の母娘とともに、読者も、摩訶不思議なMCCの魅力に引き込まれてしまいます。
作者のジェラルディン・マコックラン(1951-)はイギリス生まれ。出版社につとめたのちに作家になりました。ほかにも数多くの作品を手がけていて、偕成社では全部で7点の作品を刊行しています。
訳は、名著を多く訳されている金原瑞人さん。『不思議を売る男』は、ほかの作品でもたびたびタッグを組んでいる、佐竹美保さんが絵を描かれています。
いかがでしょうか? どれも、読み出したらページをめくる手が止まらなくなることうけあいの、魅力たっぷりの作品です。読書の秋、ぜひ挑戦してみてくださいね。