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絵本&読み物案内

一度は読んでおきたい! 偕成社のイチオシ名作海外文学3作品

2019.10.28

みなさん、海外児童文学はお好きですか? 外国の暮らしや食文化にふれられる海外児童文学には、ストーリーの他にもさまざまなおもしろさがありますね。
偕成社でも、多く海外児童文学作品を刊行しています。今回はその中でもイチオシの作品3冊と、それぞれの作品の作者についてご紹介します。

『ヒルベルという子がいた』(ペーター=ヘルトリング 作/上田真而子 訳/初版1978年)

 1作目は、施設で育つ男の子の半生を描いたドイツの物語です。

 ヒルベルは施設で暮らす、10歳になる男の子。上手に話すことができないために、ひどい癇癪持ちで、突然叫んだり暴れたりもするので、他の子どもたちからは敬遠されがちです。
 
 理解のない大人から「悪い子だ」と言われ、読み書きや勉強が苦手なせいで、周囲の子どもたちからは「ばかだ」と言われヒルベルは不安定な心を抱えたまま、毎日を過ごしていました。
 そしてある日、ヒルベルは施設から逃げ出します……。
 
 作者のペーター=ヘルトリング(1933-2017)は、編集の仕事をしたのち、大人向け文学、詩などの作品を書き、1970年ごろから児童文学を手がけるようになりました。
 
 訳は、『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ 作)をはじめとするドイツ児童文学の翻訳を数多く手がけた、ドイツ文学者の上田真而子さんです。偕成社では、同じヘルトリングの作品をほかに3点、上田さんの訳で刊行しています。
 
偕成社文庫版もあります。
 

『クラバート』(プロイスラー 作/中村浩三 訳/初版1980年)

 2作目は、『大どろぼうホッツェンプロッツ』で知られるドイツの作家、オトフリート・プロイスラー(1923-2013)の名作です。
 

 身寄りのない少年・クラバートは、荒地にある水車場の親方のもとで、見習いとして働きはじめます。
 独特のルールや、ほかの職人たちのどこか不穏な雰囲気に戸惑いながら働くうちに、クラバートは、水車場の秘密を知ります。それは、ここが親方による魔法の学校だということ。見習いの期間が終わると、職人たちはからすの姿に変わり、毎週金曜日の夜に魔法を習うのでした。
 
 おそろしい親方の命令には絶対に歯向かえず、ひたすら働いて魔法の腕をみがく日々の中、クラバートはある少女に心を奪われ、生死をかけて親方と対立することになります。
 
 『大どろぼうホッツェンプロッツ』は、ゆかいで痛快なストーリーが魅力ですが、こちらは一転、不気味な空気が漂い、「愛の力」がそれに立ち向かうという、大人っぽい一冊です。
 訳は、『大どろぼうホッツェンプロッツ』と同じく、中村浩三さんが手がけています。水車場の湿気や季節の移り変わりが手に取るようにわかる、引き込まれる訳文です。
 

『不思議を売る男』(ジェラルディン・マコックラン 作/金原瑞人 訳/初版1998年)

 3作目は、ふしぎな男が古道具屋の「物」にまつわる物語を毎話語る、連作短編集です。
 

 身寄りがないからと、母娘が営む古道具屋に居ついて働き始めた謎の男、MCC。いつも本を読んでいて、一見さぼってばかりですが、お客がやってくると態度は一変。お客が興味を持った古道具にまつわる不思議な話を語って聞かせ、見事に古道具を売りさばいていきます。
 果たしてこの男が語る話は、嘘か真かどちらなのでしょう。そして、この男の正体とは? お店の母娘とともに、読者も、摩訶不思議なMCCの魅力に引き込まれてしまいます。
 
 作者のジェラルディン・マコックラン(1951-)はイギリス生まれ。出版社につとめたのちに作家になりました。ほかにも数多くの作品を手がけていて、偕成社では全部で7点の作品を刊行しています。
 訳は、名著を多く訳されている金原瑞人さん。『不思議を売る男』は、ほかの作品でもたびたびタッグを組んでいる、佐竹美保さんが絵を描かれています。


 いかがでしょうか? どれも、読み出したらページをめくる手が止まらなくなることうけあいの、魅力たっぷりの作品です。読書の秋、ぜひ挑戦してみてくださいね。

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私は読書に興味がありませんでした。でも題名にひかれて読んでみると世界観やお話のとりこになりました。『闇の守り人』『夢の守り人』と読んでいくうちに上橋菜穂子さんの物語にひきこまれていきます。これからもシリーズを読むのを楽しみにしています!(11歳)

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