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編集部だより

棚田へGO! 秋

2018.10.24

 みなさんこんにちは。走ってばかりの編集部・藤田です。
 とはいっても収穫の秋、走ってばかりではいられません。

 先月今月と田んぼで稲刈りと脱穀をしてきました。
 今回はそのご紹介です。

 私は5年ほど前から、栃木・茂木町もてぎまちの棚田で稲作をしています。
 といっても月にいちど作業をするだけ、田んぼオーナー制度です。

山間の田んぼと青い空。遠くで麦わら帽子のおじさんが草刈りをしている。

これは8月。青々とした田んぼ。草刈りもたいへん。

 

 まずは先月9月半ば、稲刈りです。

秋の棚田のようす。山間の青い空の下に黄金の稲穂がゆれる

9月になるとこんな感じ。実るほどこうべを垂れるなんとやら、ですね。

 ノコギリ鎌で刈りとりますが、驚くべきは、いとも簡単に刈れること。ウエハースのようです。
 これは夏のあいだに田んぼの水を抜いて、根元を枯らせておいたから。
 先人の知恵ですね。弥生人? に敬服です。

 でもしゃがんだ姿勢で何時間もやるので、さすがに腰が痛くはなります。

子どもが二人、稲刈りをする様子。黄金色の秋の田んぼ

子どもでも簡単に刈れる。ざっくざっくと、なかなか刈りがいがある。

 刈りとった稲は、5、6株ぶんまとめてわらで束ねます。これもけっこう大変。
 ここで登場するのが、バインダーと呼ばれる農機具。
 ヤツはすごい。刈りとるのと同時に束ねてもくれます。
 しかも熱で圧着でなく、きちんと結んである! 小人が中にいるに違いない。

コンバインで稲刈りをするお兄さん

機械も使わないと間に合わないので、ガーッと。

稲束の結び目のアップ。

なんということでしょう。結んである。

 で、稲の束は稲架はさがけにして干します。

はさがけをするみなさんの様子。竹を組んでいる人も。

山で切ってきた竹で稲架をくみ、干す。

子どもがふざけて稲束をあたまからかぶって雪んこのような姿に。

これだけまとまるとけっこうな重さ。

稲架がけとヒガンバナと青い空。

稲架がけとヒガンバナと青い空。

 いいですねえ。日本の原風景。
 はじめてのとき、8割がた干しおわったあとで、稲架がバキッー! と折れて、すべて倒れました。
 一からやり直しで、心もいっしょにバキッー! です。

 続いて今月は脱穀でした。3週間ほど干したのがコチラ。

10月の田んぼの風景。稲架がけされた稲。

今年は9月16日に稲刈り、台風をはさんで10月7日に脱穀。

乾燥した稲束のアップ。

よく乾いたかな。

 そうして干した稲藁いなわらを、稲架から外して、どんどん脱穀機にかけていきます。

キャタピラのついた大きな脱穀機をうごかす3人の大人。稲架にそってうごかしている。

農機具は工夫の宝庫。「必要は発明の母」の見本のよう。

 機械のなかではもみが稲からとれて、袋にガシガシ落ちていきます。籾は、からのついたままのお米のことです。
 籾をとった稲藁は右側に出てきて、田んぼにばさっと落ちる。

袋におちる籾のアップ。

籾が袋に落ちていく。

脱穀機から籾のとれた稲藁が田んぼに落ちていく。

藁が田んぼに落ちていく。

 稲刈りのときのコンバインといい、この脱穀機といい、「ノーベル農機具賞」があればこれらは毎年受賞レベルのすぐれものです。
 稲架に使った竹も、毎年もちろん再利用。

竹をはこぶ大人。

わっせわっせと運ぶ。

山ぎわの畦道におかれた竹の束にトタンをかぶせている。

田んぼでよく見るトタンは雨よけのためだった!

 藁も業者さんに売って畳の中身になったりします(今年は燃やしたけど)。
 「稲作にはムダがない!」とつくづく思います。長年つちかわれてきた合理性のたまものですね。

トラクターに山と積まれた藁の束。

畳屋さんへと引き取られていく藁。

 このあと、さきほどの殻つきの籾を「籾すり」という作業によって殻をとりのぞき、玄米(皮のついたお米)にします。

 参加者には玄米の状態でくばられ、この5年でいちばん収穫の多い年は、ひと家族あたり60kg、昨年は40kgでした。

 さて今年はどうでしょうか。

 11月には収穫祭が行われて、おいしい新米をいただきます。
 もちつきや、いのししの肉などもふるまわれ、1年の作業の苦労をみんなでねぎらいます。

昨年2017年の収穫祭。よいしょー! ともちつき。一年の作業を終え、待ちに待った日でもある。

 田んぼオーナー制度は日本中で行われているので、みなさんも興味があればぜひ参加してみてくださいね! 

 偕成社のお米の本は、コチラ!

 シリーズ「おいしいごはんができるまで」1
 『〈お米から〉そだてるおにぎり
 おにぎりができるまで、を稲を育てるところから、わかりやすくご紹介!

 今回は「稲作・秋」でしたが、また来年に「稲作・春」をお伝えできればと思っています。
 ではみなさま、よい食欲の秋を!

(編集部 藤田)

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