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編集部だより

能面師に会う奈良の旅

2017.09.13

 こんにちは! 編集部の丸本です。今週末は3連休ですね。
 みなさんはどこかに行く予定はありますか?
 先日、会社の旅行で奈良にいってきたのですが、きょうは、そこで出会ったすてきな能面師のかたの話をします。
 ならまち
 
 奈良市の旧市街地は、通称「ならまち」とよばれています。
 太平洋戦争の戦災をまぬがれ、古き良き日本人の生活風景を残す、全国でも希少な町なのだそうです。
 古くから続いていそうなお店や銭湯がたちならぶと同時に、町家を改装したようなかわいらしいカフェや雑貨屋さんなどもならんでいて、とてもいい感じです。
 
 夕方すぎに到着して、町の酒屋さんで利き酒をしたり(「乳華」という牛乳のようなお酒が絶品でした!)、日本一古い砂糖屋さんに入って信長が食べたという金平糖を買ったり…。
 ならまちを満喫していると、なにやらあやしげな看板が。
 
能面教室の看板  
 ならまちの古めかしい建物群に、馴染んでいるようでびみょうに浮いている、ふしぎなたたずまい。
 
「能面教室ってなんだろうね?」
 一同が興味しんしんでうろうろしていると、なかから人が
 いっしゅんひるみつつも、勇気をだして話しかけてみると、
 
「よし、じゃあ能面みていくか」
 
 なんともフランクなおさそい
 ふつうはちょっと遠慮するところかもしれませんが、こんなたのしそうなことに乗らない手はないと、ぞろぞろとあがらせていただきました。
 
 ここが案内してもらった作業部屋。
 
作業部屋

ノコギリやノミなど、いろいろな道具がならんでいます

 
 おもな作業はすべてここでおこなっているそうです。
 年季のはいった道具と部屋のようすに目をうばわれていると、奥からつぎつぎと能面や舞楽面が!
 
「ちゃんと左右の端をもってね」ということばにちょっとびびりつつ、顔にあててみます。 
 面をかぶるところ

迫力のある舞楽面

迫力のある舞楽面

女面にはおもわず見とれてしまいます

女面にはおもわず見とれてしまいます

 

能面の裏

 
 つけてみると顔のかたちにすごくぴったりで、かたむける角度によって、びみょうに表情が変わったりします
 舞台で見たことはあっても、こんなふうに手にとって眺めることってなかなかないので、とても貴重な体験です…。
 
 舞楽面のなかには、あごひもにしかけがあって目玉がうごくようになっているものもあり、ひとくちにお面といってもいろいろあるのだなとおもいました。 
 
 お面に興奮してご紹介するのが遅くなりましたが、見ず知らずのあやしい観光客を親切にもまねきいれてくださったのは、丸尾万次郎さん。
 
あごがうごくようになっている舞楽面と金田正一似の丸尾さん

あごがうごくようになっている舞楽面と金田正一似の丸尾さん

 
 話をくわしく聞いてわかったのですが、じつはかなりすごい人で、東大寺の春日大社のお祭りではいつも丸尾さんのお面がつかわれているそうです!
 宝物殿にも2枚、丸尾さん作のお面が奉納されているらしく、いつか国宝になるかもしれないね…なんて話をしていました。
 丸尾さんの名前の入った木札
 
「能面教室」のその名のとおり、ご自宅兼仕事場では、たくさんの生徒さんに教えているとのこと。(校外学習で小学生がたくさんやってくることもあるそうです)
 
 つぎからつぎへと飛び出すつくり手ならではのお話の数々に、面づくりの奥深さを感じました。
 職人さんってやっぱりかっこいい…!
 
机の上にならぶ6枚の面
 
 丸尾さんのたのしいお話のあとは、旅先でのうれしい出会いの余韻にひたりつつ、銭湯でゆっくり汗をながして、旅の疲れをいやしました。
 
銭湯外観
 
 10月には、生徒さんのつくった面を展示する展覧会がおこなわれるそうです。
 お近くのかたは、ぜひ足をおはこびください!
 
 ちなみに、偕成社では「日本の伝統芸能を楽しむ」シリーズの1冊として、『能・狂言』という本があります。
 

 きになる面のつくりかたなども載っているので、ぜひチェックしてみてください!

 
 
(編集部 丸本)
 

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