「こどもの本屋さんにいこう!」の連載が始まって半年。今回は番外編として、日本で初めての子どもの本専門店、メルヘンハウスをご紹介します。
メルヘンハウスは、三輪哲さんが1973年に愛知県・名古屋市に開いたお店です。子どもの本専門店の先駆者として多くの子どもたちに愛され、作家との交流も深いお店でしたが、残念ながら2018年3月、その歴史に幕を下ろしました。
それから1年後の2019年4月、メルヘンハウスが、13日間の限定復活をしました! 今回は、三輪哲さんの息子さんで現在2代目を務める三輪丈太郎さんに、この限定復活の舞台裏について、お話を伺いました。
Q お店のご紹介をお願いします。
1973年、“日本で初めての子どもの本専門店”として、創業者の三輪哲が「子どもたちに良い本を!」と言う基本理念を掲げ名古屋にオープンし、2018年3月に45年の歴史に幕を閉じました。
現在は、2代目の三輪丈太郎が「メルヘンハウス ネクストステージ」として、講演会、絵本のセレクト、絵本のイベントの企画運営など「児童書の普及活動」を行いながら、実店舗再開を目標に活動しています。
Q 限定復活を企画された理由は?
メルヘンハウス閉店後、私の「子どもたちに絵本を手渡したい!」と言う欲求が日々増す中で、メルヘンハウスの閉店から1年、「メルヘンハウス ネクストステージ」の活動から半年と言う区切りで、「実店舗の必要性」を自分自身が体感することが、今後の実店舗再開に向けての活動に良い影響をもたらすと考え、多くの方々の多大なる協力を頂きながら昨年末に限定復活を決意しました。
Q 限定復活をされてどうでしたか?
限定ながらも復活を待ち望んでいた多くの子どもたちやお客さま、そして、「はじめまして!」の子どもたちも含め、多くの子どもたちへ絵本を手渡すことが実現したことを、とても嬉しく思いました。
私が実店舗再開において目標としているのは、「絵本を介してのコミュニティスペース」です。今回、3.4坪という狭小な店内だからこそできた、子どもたちとの距離の近いコミュニケーションや、お客さまへの本の説明を通して、本との出合い、人との出会いなど、様々なストーリーを提供することができました。
ネット社会がもたらした「人との繋がりの希薄さ」の中、やはり子どもにとっての絵本は、人の温もりあってこそのものだと強く感じました。
Q 偕成社の本でいちばん好きな絵本と読み物(または思い出の本、注目の本など)を教えてください。
『すてきな三にんぐみ』です。3歳の頃に父に膝の上で読んでもらい、それから20年後の夢を追いかけてガムシャラに生きていた23歳の時に再会し、そこから20年経った43歳の今、私は父親として自分の息子にこの絵本を読んでいます。まさに「世代を超えたロングセラー」であり、この絵本によって父と息子(祖父と孫)が繋がる何物にも代え難い、私にとってプライスレスな宝物です。私は40年経った今でも、3歳の時に感じた父の温もりはしっかりと覚えています。
Q 本選びのポイントや、はじめての本選びに困っている読者へ向けてメッセージをお願いします。
情報過多の社会の中で、様々な情報に惑わされることなく、自分の感性を信じて選ぶことが大切だと思います。その感性を磨くのは多くの本を実際に手に取り読むことであると思います。
どこに行くこともなくネットの中だけで情報収集するのではなく、実際に書店でも図書館でも「本が置かれている」場所に出向くと言う「手間をかける」ことで、本を通した思いがより子どもたちには伝わります。そして、本に対して効果を求めるのではなく、「子どもと一緒に楽しむ」と言うスタンスが重要であると思います。
最後に、創業者である三輪哲さんからも読者の方へのメッセージをいただきました。
「本との出合いは、人との出会い」、ずっと大切にしてきた言葉であり実践してきたことです。これからも多くの子どもたちが本の世界に入り、楽しんでくれることを願います。
ありがとうございました!
メルヘンハウス
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