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絵本作家の「こどもとあそぶ」

第1回

色とあそぶ〈新井洋行〉

絵本作家や児童文学作家の方に「こどもとのあそび」を教えてもらう、新連載。第1回目は、『れいぞうこ』などのあかちゃん絵本シリーズで人気の、新井洋行さんです!

 僕は昔から抽象画が大好きで、見るのも好きですし自分で描くのも好きです。描くというか、絵の具や色と遊んでいるような感覚がとても楽しくて、それを子どもとも一緒に味わおうと、たまに親子で抽象画を描いています。可愛くデフォルメされたイラストを描くとか、写実的な絵を描くというのとは違って、この遊びには答えがないので、上手下手にしばられることなく自由に、絵を描くという行為をただ純粋に楽しむことができるように思います。

 大きな筆で描いたり、小さな筆で描いたり、水をたっぷりつけてみたり、乾いた絵の具でかすれた感じに描いてみたり、そんな普通の絵を描くことの延長線上のやり方もあれば、筆に絵の具をつけてコンコンと叩いて絵の具のしぶきを飛ばしてみたり、指を使ってグリグリ描いてみたり、乾いていない絵の具をティッシュペーパーでポンポンってスタンプみたいに押してみたりする方法もあります。道具や体をいろんなアイデアで工夫して使うっていうのがまた遊びっぽくて楽しいのです。僕がいちばん好きなのは、紙に絵の具のチューブから直接絵の具をニュルニュル〜ってしぼりだして、たっぷり出た絵の具を手のひらで伸ばすやり方です。これがとても気持ち良くて楽しい!

 僕は美術の歴史にくわしいわけではないので、抽象画にどんな価値があるのかがよくわかっていないのですが、子どもたちが楽しんで描いた絵はどれも芸術的で、素晴らしいと感じます。この楽しい絵の具遊びを通して、表現には色々な方法があるということを感じてくれると良いなと思います。この遊びのもうひとつ良い所は、失敗しても何度も描き足せ、失敗するたびに絵の深みが増していくことです。それってなんだか人生と同じような気もするのです。額装して飾るとおしゃれなインテリアにもなるので、ぜひ親子でチャレンジしてみてください。


新井洋行
1974年生まれ。雑貨や木の積み木などのデザインを数多く手がけるデザイナーでもある。二児の父。絵本に『れいぞうこ』『おしいれ』『おふろ』『ひきだし』『といれ』『どっちのてにはいってるか?』『どっちにかくれてる?』『ねんどのむにゅ』(偕成社)『しゅっしゅぽっぽ』(教育画劇)など。


バックナンバー

今日の1さつ

2年前から一人暮らしです。書店で本を目にして、トガリネズミの愛らしいすがたに、つい買ってしまいました。主人公がとてもかわいくて、1ページ、1ページ色んなことを想像して、楽しくて、最後読み終わったとき、「そっか〜良かったね」と声が出てしまいました。ほんわかとやさしい気持ちになり幸せでした。(60代)

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