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絵本作家の「こどもとあそぶ」

第3回

おばけ屋敷ワークショップ〈山本 孝〉

絵本作家や児童文学作家の方に「こどもとのあそび」を教えてもらう連載。第3回は、絵本『本所ななふしぎ』『学校ななふしぎ』(斉藤洋 文)の、ぞくっとするようなこわ〜い絵を描かれた山本孝さんです!

 僕のワークショップ(以下WS)に、おばけ屋敷WSというものがあります。文字通り、おばけ屋敷を作るWSで、毎年夏に開催される人気イベントです。今回はそんなWSについてお話ししたいと思います。

 そもそも、このWSが生まれたのは2011年夏。愛媛県松山市にある「えほんの店コッコ・サン」から「絵本『本所ななふしぎ』をもとにWSをしてほしい」と依頼を受けたのが始まりでした。そのころの僕はWSの経験がなく、どうすればいいのか途方に暮れました。そして「子どもたちと一緒に、おばけ屋敷を作ったらどうだろう」と考え、試行錯誤の末、現在のおばけ屋敷WSのスタイルが生まれたのです。

 では、具体的にどういうものなのか? 手順を説明します。

①WSの準備1:おばけ屋敷をあらかじめ作っておく。
 会場をパネル等で区切り、通路を作ります。窓を暗幕でふさぎ、暗くします。僕が作ったおばけや小道具、大道具を配置します。恐ろしいBGMを流し、仕込み完了。


②WSの準備2:おばけを作る材料や道具を用意し、僕が作ったおばけ見本を並べる。
 材料は空き箱や容器など、道具はマジックやハサミ、セロテープなど、どれも簡単に手に入るものばかりです。


③WSスタート:黙々とおばけを作る!
 どんなおばけを作るかは、まったくの自由です。子ども達のすごいところは、簡単な見本で、それを遥かに越える素晴らしい作品を作ってしまう想像力! 作り方が分からない子も、少しのヒントで目が輝き、みるみるうちに傑作を生み出します。


④おばけの飾りつけ:
 完成したら屋敷に入り、自分の作ったおばけを好きな場所に飾りつけます。全員のおばけを飾りつけたら、おばけ屋敷の完成!

⑤完成したおばけ屋敷は期間限定で、地域の子ども達に開放されます。

 こうして生まれたWSが、今ではすっかり「コッコ・サン」の夏恒例の人気イベントに。そして新たな場所、和歌山県有田川町では、3年連続で絵本『学校ななふしぎ』をもとに実際の学校を使用した「学校のおばけ屋敷WS」が開催され、来場者数2800人を越える夏の一大イベントに成長しました!
 おばけ屋敷WSが誕生して7年。これまで数えきれない子ども達とおばけ屋敷を作ってきました。そのたび、その発想の豊かさに驚き、喜び、そして打ちのめされました。

 この次はどんな子ども達、どんなおばけ達に出会えるのか? 
 そしておばけ屋敷WSはどこに向かうのか…。
 来年の夏が待ち遠しくて、仕方ありません。


山本 孝
1972年生。絵本作家。絵本『十二支のおはなし』『ふくはうちおにもうち』『本所ななふしぎ』『学校ななふしぎ』の絵のほか、自作絵本『むしプロ』『ちゃんがら町』など。

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毎日をまじめにコツコツ生きるトガリネズミを見ていたら、自分の日常ももしかしてこんなに静かな幸せにあふれているのかも、と思えました。海に憧れて拾ったポスターを貼ってみたり、お気に入りのパン屋さんで同じパンを買ったり。駅中の雑踏やカフェでふとトガリネズミを見かけそうな気がします。(40代)

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