いざ地球のまんなかへ!
これは、大人の男三人が大冒険する物語である。
「地球の中心がどうなっているのか知りたい!」という 一念で、鉱物学者リデンブロック教授は地球内部への探検旅行を決行する。もちろん、徒歩である。きっかけは、昔の有名な錬金術師がルーン文字の暗号で残したメッセージ。この錬金術師が地球の中心まで行ったなら、自分たちにも行ける、と考えたのだ。
語り手の「ぼく」は、教授の甥で、助手でもある若者アクセル。
教授とアクセル、地元の案内人ハンスの三人は、アイスランドの休火山の火口から地下にむかってどんどんくだりはじめる。
どんな障害にあっても、教授はどんどん進む。真っ暗ななかを下へ下へ。アクセルは常に、ハラハラドキドキ、もう帰りましょうよ~というスタンス(読んでいる私もです)なのだが、教授の度を越した熱意をくつがえすことはできない。
くだるにつれ、古代の地層が現れてくる。地質学、鉱物学を専門とする二人にとっては、願ってもない光景だ。さらに地中深くなればなるほど、見えるものはどんどん不思議さを増していく。地下160キロメートルのところでは、地底湖に行きあたる。湖と言っても、対岸が見えないそのさまは、もうほとんど海。洞窟の中のはずなのに、波さえ立っていて、三人は手作りのいかだに帆をはって、進む、進む。おどろいたことに、この海には巨大な古生物が生息し、本書のカバー絵のような光景がくりひろげられているのだ。そのあとには、まさかの生き物に遭遇?!
そんな地球の奥の奥まで行ってしまった三人が、どうやって地上に帰還を果たすのか!
本書は、約150年前(日本でいうと江戸時代末期)に、ジュール・ベルヌが羅針盤や電灯、クロノメーター、地質学など、当時の新しい知識を駆使して書いた奇想天外な物語だ。なんとしても自然の成り立ちを知りたい、解き明かしたい、という気持ちが強く伝わってくる。
しかしなんといっても、地中を旅すること約2か月間(!)、どんな窮地におちいっても望みをすてないリデンブロック教授の前向きさには脱帽だ。このおじさんは熱い!
(編集部 和田)