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北の森の診療所だより

第20回

2月 春を見た、元気を見た

日の出の場所を、毎朝サンピラー(太陽柱)で教えてくれる2月。あたりまえのことだが、春はみんな元気になる。ならなくても元気なふりをするのかもしれない。入院、というより居候と呼ぶ方が正確な患者が、近ごろ元気がいい。隣の部屋から華やかな声、それも大声、しかも笑い(?)声である。その騒々しさに何事かと起き出したら「ゲラッピーですよ」と妻の言。種の平均寿命の5倍も生きて、ほとんど死んだふりをして日々を送っている隻目(せきめ)のアカゲラの声である。近ごろもう1羽の患者は水浴びを楽しみたいとせがむ。


窓ぎわでブーゲンビリアの花が咲き、毎朝アフリカを思い出させる。人の声、鳥の声、虫の声まで聞こえるような気分となる。

そんな朝、テントウムシを見た。春を見たと思ったその日、机の下でムネアカオオアリを見た。クマゲラが大好きなアリだが、どこから出てきたのだろうか。そういえば数日前から庭の木の根っこをつつく姿を何度か見た。その姿にも元気を見た。


机に向かってぼんやり過ごす私を「ちゃんと仕事しなさい」とガラスをたたく、キタリスの来る時間が近ごろ遅くなったと気づいた。そこで今朝は時計を見た。元旦は8時20分だった。キタリスの起床時間は一年じゅうほぼ変わらない。早朝4時台。ところが就寝の時間は1月の始めはほとんど午前9時。日照時間が長くなった分だけ、その時を遅くする。


それを窓ガラスをたたいて私に知らせているのだ。「こんなに日は長くなったのに……」とせかしている。それは残り時間の短さを知らせようとしているかのようだ。「もう充分生きたよ」とつぶやき、相手をするためにベランダの戸を開けた。


太陽は昨日と変わらないと思えるのに、頬にふれる光は昨日より暖かいと感じている。もうすぐ2月が終わる。

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  • 竹田津 実

    竹田津 実

    1937年大分県生まれ。岐阜大学農学部獣医学科卒業。北海道東部の小清水町農業共済組合・家畜診療所に勤務、1972年より傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリ作業を始める。1991年退職。1966年以来、キタキツネの生態調査を続け、多数の関連著作がある。2004年より上川郡東川町在住。獣医として、野生動物と関わり続けている。

今日の1さつ

読み聞かせすることで、「ムッシー」がこないように歯をみがくことに積極的になったりと、歯みがき強化効果がありました。(2歳・ご家族より)

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