icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

放課後の文章教室

第2回 友情を書く 1

魅力的な文章の魅力とは?

「書くこと」について、若い人からの質問に、作家・小手鞠るいさんが答えます。

––––ツイッターを使って、友だちを増やしたいと思っています。どうすれば、人の目に留まって、大ぜいの人に読んでもらえるような、魅力的な文章(140文字)が書けるのか、教えてください。以前、ブログをやっていたことがあるんですが、長い文章を書くのが苦手なのと、ブログはだれも読んでくれていないので、むなしくなって、やめました。千葉県在住、現在高3の女子です。

 質問のメール、確かにいただきました。
 どうすれば、人の目に留まって、大ぜいの人に読んでもらえるような、魅力的な文章が書けるのか? 
 私もその答えが知りたいと思いました。
 作家はみんな、知りたがっているのではないでしょうか。どうすれば、本屋さんで人の目に留まって、大ぜいの人の手に取ってもらえるような、魅力的な作品が書けるのか。
 まるで魔法みたいな、画期的な方法があるのであれば、作家は苦労しませんね。もしかしたら、だれでもかんたんに作家になれて、世の中は、作家だらけになってしまうかもしれません。
 魅力的な文章。
 それは、書こうと思って書けるものではないし、どんなにがんばっても書けないこともあるし、書ける方法があるわけでもない。魅力的な文章を書こう、などと思わないで書いた文章が、たまたま魅力的になることもあれば、ならないこともある。そういうことなんだと私は思います。
 どういうことなのか、まったくわからない?
 ごめんなさい。もうちょっと、書いてみましょう。
 たとえば、ある本を読んで感動したとき、あなたは「感動的な文章」に感動したのでしょうか? そうではなくて、その作品の何かが心の琴線に触れ、心を揺さぶられて、あなたは深い感動を味わったはずです。
 そして、あなたに感動を味わわせくれたからこそ、その「文章は魅力的だった」と、言えるのではないでしょうか。
 つまり、魅力的な文章というのは、結果に過ぎないわけです。
 それだけを目的にして、文章を書くことはできない、とも言えるでしょうか。要は、魅力的な文章とは、そこに書かれている魅力的な内容と分かちがたく結びついている。文章と内容を切り離しては考えられない、ということです。
 「魅力的な文章」の「文章」を「人」に置きかえてみてください。
 魅力的な人とは、見た目やファッションだけが魅力的なのではなく、その人の性格、考え方、立ち居ふるまいなどが魅力的であるはず。
 文章も、それと同じことなのです。
 
 さて、せっかく質問をしてくださったあなたに、魅力的かどうか、目に留まるかどうかはひとまず脇へ置いておいて「大ぜいの人に読んでもらえる文章」について、ひとつだけ、ヒントを差し上げましょう。
 大ぜいの人に読んでもらうためには、何をさておいても、わかりやすく書くことです。大ぜいの人、というからには、子どもからお年寄りまで、老若男女がふくまれていますね。あなたは高校3年生ということですが、あなたの書いた文章を、たとえば小学1年生の子が読んでも、何歳も何十歳も年上の人が読んでもちゃんと理解できるように、あなたの言いたいことが相手に伝わるように、まずはそのことを心がけて、書いてみてください。
 そう心がけるだけで、あなたの書く文章はほんの少し、変わってくるはずです。
 小学1年生の子に読んでもらうためには、わかりにくいことば、あなた自身でさえ意味のよくわからないことばは、使えなくなりますね。逆に、今、高校生のあいだだけで流行っているようなことばも、年配者には理解できないかもしれません。
 どんなことばを使えばいいのか、どんなことばを使うべきではないのか、あなたの内面に、ひとつの基準というか、決まりのようなものができてきます。
 あなた自身のつくった、あなただけに通用する決まりでいいのです。
 その決まりがあるかないかで、文章は大きく変わってきます。
 たとえば私の場合には、流行語はできるだけ使わない、ネガティブな表現を避ける、主語を明確に書く、カタカナ表記は必要最低限にとどめる、などなど。まだまだほかにもありますが、あくまでも私の決まりなので、あなたはこれに従わなくていいですし、決まりは、時が経つにつれて、変化していってもいいです。私もかつては、「のだ」「である」は使わない、という決まりをつくっていましたけれど、今はもう廃止しました。
 わかりやすく書かれた文章は、それだけで魅力的です。少なくとも私にとっては、とても魅力的です。まず「読んでみよう」と、私なら思います。
 けれども、最初のほうにも書いたように、読んでみた結果、感動することもあれば、まったくしないこともあります。私にとって魅力的なことが何も書かれていなければ、最終的には、私はその文章を魅力的だったとは、決して思わないでしょう。
 文章とはそういうものです。ひとすじ縄ではいきません。奥が深いのです。

バックナンバー

profile

  • 小手鞠るい

    小手鞠るい

    1956年岡山県生まれ。1993年『おとぎ話』が海燕新人文学賞を受賞。さらに2005年『欲しいのは、あなただけ 』(新潮文庫)で島清恋愛文学賞、原作を手がけた絵本『ルウとリンデン 旅とおるすばん 』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞(09年)受賞。1992年に渡米、ニューヨーク州ウッドストック在住。主な作品に、『エンキョリレンアイ』『望月青果店』『思春期』『アップルソング』『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』『星ちりばめたる旗』『きみの声を聞かせて』など。

今日の1さつ

表紙の絵やとちゅうの絵がかわいいのでレンちゃんや高田さんの気分になれて本の中の世界にすいこまれるのでドキドキハラハラしておもしろかったです。(9歳)

pickup

new!新しい記事を読む