icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

今週のおすすめ

常識をうたがってみた先にある、おもしろさ。五味太郎『まだまだ まだまだ』

「ふつう」にとらわれずに、さまざまな驚きの視点を届けてくれる五味太郎さんの絵本。『まだまだ まだまだ』は、ちょっとはずれてしまう、いきすぎてしまう子どもたちをユーモアまじえて、明るくやさしくつつみこむ作品です。


ぼくのかけっこはまだまだおわらない!

 『まだまだ まだまだ』は5人の子どもたちのかけっこからはじまります!

 よーいどん! とスタートし、次のページをめくると……あら、あっという間にゴールに到着してしまいました! もう終わってしまうの? いえいえ、ここからがこの絵本の本当のはじまりです。

 なんと、びりっけつだった最後のひとりの子が、ゴールをこえて、まだまだ走っていってしまいました。

 ぼくは まだまだ おわりません!

「ふつうの」かけっこがおわったあとのページで、ようやくタイトルが現れる斬新な絵本のつくり!

 そのまま、にぎやかなところや、ビルのあいだ、畑や森の中を、男の子はたったひとりでかけっこしていきます。

ビルの上から男の子の方を指さしている人も。「あら、あんなところを走っている子がいるよ」といっているのかな?

 さてさて、この子はどこまで走っていくのでしょうか。

 一心に前へ前へ走る男の子に加えて、まわりにいる人や動物たちの表情にも注目したい1冊。最後にあっとおもしろい結末が待っていますよ。

常識をうたがってみた先にある、おもしろさ

 かけっこはスタートとゴールがあって、定められたコースをいかに速く走り切るか、という競技。ルールあってこそ競って楽しいものですが、なんとこの男の子はゴールも、規程の道もはずれて自分だけのかけっこをはじめてしまいます。

 「え、そんなのあり!?」と最初はびっくりしつつも、そのすがすがしさといったら! たとえそれでビリになっても、いや、これはこれでよいかけっこだ、むしろかけっこというのは、順位も大事だけど、純粋に走るのを楽しむためにあるものかもなあ、という気持ちになってきます。

 普通の常識を疑ってみること、逸脱しても楽しく明るくやること。上手に生きよう、正しくやろうということばかりが優先されて、いつの間にかこちこちに固まってしまっている私たちの頭を、スコーンとたたいてくれる、爽快な絵本です。

この記事に出てきた本

関連記事

バックナンバー

今日の1さつ

推理小説で、怪奇小説で、歴史小説。なんて贅沢な一冊!そしてどの分野においても大満足のため息レベル。一気に読んでしまって、今から次回作を楽しみにしてしまってます。捨松、ヘンリー・フォールズなど実在の人物たちに興味が湧いて好奇心が刺激されています。何よりイカルをはじめとするキャラにまた会いたい!!(読者の方より)

pickup

new!新しい記事を読む