春です。色とりどりの花があちこちで咲き、木の枝みどりがしげるのをみると、わたしたちの心にも、うれしい気持ちがにょきにょき芽生えてきますね。
今回ご紹介するのは、そんな春のうれしさがぎゅっとつまった『わかくさのおかで』(かじりみな子 作)。うさぎのラビッタちゃんが、家族みんなでピクニックに出かけます!
わくわくうれしいピクニック
うさぎのラビッタちゃん一家は、ピクニックに出かけました。パパとママ、そしていもうとのピョコラッタちゃん。お花畑で遊んだり、準備したお弁当をみんなで食べたり、姉妹でちかくを探検したり……。「春」があふれる野原で過ごすのは、とってもいい気持ちです。
ラビッタちゃんのあとを、ぴょこぴょこ追いかけるピョコラッタちゃん。ラビッタちゃんが「ラッタ ラッタ」とうたうと、「たった たった」とまねっこします。
ところが––––
ラビッタちゃんが、わたすげの原っぱをごきげんで進んでいるうち、ピョコラッタちゃんの声がしなくなりました。いつのまにか、はぐれてしまったのです!
ラビッタちゃんのむねは、どきどきどき……。パパとママといっしょに、ピョコラッタちゃんを探します。さて、ピョコラッタちゃん、大丈夫かな?
おいしそうな食べもの、細かく描きこまれた絵にも注目!
あたたかいお話とともに、この絵本の大きな魅力となっているのが、美味しそうな食べものと、かじりみな子さんならではの細かな絵です。
ラビッタちゃん一家がピクニックに持っていくお弁当は、こちら!
・こけももをぎゅっとしぼったジュース
・たんぽぽの葉っぱにベリージャムをたっぷりぬった、にんじんサンドイッチ
・いちごを乗せてカリカリに焼いた、ライむぎパイ
うーん、なんておいしそうなんでしょう!
そして、広い野原の絵には、たくさんの動物たちが描きこまれていて、よくみるとそれぞれにまた別のお話がひそんでいそうです。
シギが結婚式をあげていたり、オオカミが筋トレをしていたり、フクロウが読書をしていたり……。実はラビッタちゃん一家と同じコースでピクニックを楽しんでいる、カピバラの一家もユニークです。
こうした細部の工夫については、刊行時のインタビューで、かじりさんご本人がくわしく解説してくださっています。