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こどもの本屋さんにいこう!

第4回

絵本専門店グリム(静岡・沼津)

絵本専門店グリムさんと聞くと、いろいろな場所が頭に思い浮かびます。というのも、グリムさんは千葉県や伊豆の国市など、店主の飯塚さんが転居する先々で開いているお店だから。いまある静岡県沼津市のお店は、昨年オープンしたばかり! まるで“種を蒔いては去る”、かのように場所を変えながら30年以上お店を続ける、店主の飯塚須磨子さんにお話を伺いました。

 

Q お店のご紹介をお願いします。

絵本と人の出会う場所……ロングセラーを中心に新刊、昔話、赤ちゃん絵本が3500冊!外国の昔ばなし絵本は完訳版にこだわっています。新刊については必ず読んで、これぞと思う本は積極的にお薦めしています。子どもたちには想像の世界が広がる読み物も読んでほしいので、幼年文学、児童文学への橋渡しもしています。

お店には、靴を脱いで上がっていただきます。木のぬくもりに包まれて、赤ちゃんも安心してハイハイ♪ 2、3歳児は木製の三輪車に乗ってご機嫌。お母さんはゆっくり選ぶことができます。絵本の感想などみんなでワイワイガヤガヤするためのミーティングルームがあります。この場で出会った方々が繋がって、素敵な何かが生まれればいいなぁと思っています。

原画等が展示できるミニギャラリーも常設しています。

Q お店をはじめたいきさつを教えて下さい。

1981年12月船橋にて開店しました。それまで働いていましたので、寝る前のひと時娘に絵本を読んであげることが安らぎでした。疲れてうっかり飛ばして読んだりしてしまうと、娘に“違うでしょ”と叱られたこともありました。『あたし、ねむれないの』は親子で大好きな絵本です。私はこのような小さい子の気持ちが分かってあげられる親になりたいと思いました。

娘が3歳の頃『しらゆきひめ』を読んでといわれて、探し回りましたが、完訳版を見つけることができませんでした。そんな時、保育園の担任の先生が完訳版の『グリム白雪姫と七人の小人たち』(ナンシー・エコーム・バーカート画/八木田宜子訳 冨山房刊)を手渡してくださったのがきっかけで、昔話や子どもの本の世界の深みへ誘い込まれました。

当時、一般書店では余り児童書が置いていなくて、ほしい絵本が手に入りにくいのが現状でした。その頃公民館も近くになかったので、地域文化のことも、子育て最中の仲間たちや友だちと何回も話し合いました。子どもの本は好きで関わっていたのですけれど、“子どもの本と共に生きていこう”と決意し、会社を辞めました。その退職金でお店を開いたのです。勿論夫の協力もありました。

お話会、セミナーや講演会を頻繁に開き、グリムに集う人たちが増えてきました。子どもたちは大人になる過程で辛いこともいっぱいあるでしょう。そんな時に街の片隅に小さな灯りが灯っていたと思い出していただければ嬉しいです。船橋を出るときは、梶山俊夫さん始め沢山の方が、冊子“新しい地平へ”を贈ってくださいました。宝物です。

船橋は私を書店人として育ててくれた街です。閉店するときに、グリムお話会の子どもたちが私に好きな絵本を読んでくれる会も開いてくれました。今でも思い出すと心温かになります。事情で何回か転居しましたが、先々でも必ず開店をして、お話会、講演会活動もしてきました。どの地域に行っても、温かく支えてくださる方々がいらっしゃいました。だからこそ今日まで続けて来られたと、感謝の気持ちでいっぱいです。

Q 定期的に行っているイベントはありますか。

○ 月1回テキストで大人の絵本勉強会
○ 月1回子ども同士の絵本の読み合い会
○ 月2回お話会

Q 偕成社の本でいちばん好きな絵本と読み物(または思い出の本、注目の本など)を教えてください。

すてきな三にんぐみ』『二分間の冒険』『びりっかすの神さま』『クラバート』『精霊の守り人』などのシリーズです。

思い出の絵本は、『もりのゆうびんきょく』。娘が5歳の頃この絵本が大好きで、まだ字も覚えていないのに書き写しました。それを担任の先生が冊子に仕上げてくださった、宝物です。

ジェインのもうふ』は娘が子どもの頃ジェインそっくりで、この本も繰り返し読んでいました。

ふきまんぶく』はお店を始める前から好きです。鮮烈で蕗の薹を見るたびに心の中に“ふきまんぶく”が咲きます。

注目の本は、『からすのパンやさん』。子どもから孫まで読み継がれています。「おれたち、ともだち!」シリーズは、最初の『ともだちや』が出版されたとき内田麟太郎さんのお話をお聴きして以来 、気になる存在です。20周年とは凄いですね。

大どろぼうホッツェンプロッツ」全3巻は、来日された時、サインをしていただいた宝物です。読むのが苦手な4年生が全3巻読み切りました。

貴重なプロイスラーさんのサイン

最近の絵本では、ダントツに『ぞろりぞろりとやさいがね』ですね。グリムで、ひろかわさえこさん、みみずおしょうの役を近くのご住職元淨さんが読み語ったのです。それが素晴らしく、余韻として残っています。この絵本はユーモアを湛えながら、本質をついています。

Q 本選びのポイントや、はじめての本選びに困っている読者へ向けてメッセージをお願いします。

初めて絵本を選ぶ場合は、20年以上読み継がれている絵本がよいでしょう。幼い子の場合は起承転結がはっきりしている絵本、シンプルな昔話絵本もよいでしょう。赤ちゃんが手に持って一緒に読む絵本『じゃあじゃあびりびり』や『いちごちゃん』『おまめちゃん』等リズミカルでオノマトペが楽しめる絵本もいいですね。

図書館で絵本を借りて、何回もリクエストする本を購入して、傍においてあげてください。一生の友だちになるでしょう。インターネットでポチッとするのではなくて、なるべくならば子どもの本専門店で購入してください。相談にも乗ってくれます。

Q 近所にあるおすすめのお店やスポットを教えてください。

魚が美味しくてボリュームがある。“お魚ダイニングhiro ”と、焼きたて100円均一パン屋さん “町のパンやさん こんがり”です。

ありがとうございました!


絵本専門店グリム

創業 1981年12月6日
住所 〒410-0022静岡県沼津市大岡905-1
TEL 055-960-6661
定休日 毎週火曜日・水曜日
営業時間 10:00~17:00
アクセス JR御殿場線 大岡駅より徒歩10分
ホームページ https://grimm-ehon.com/
SNSアカウント Facebook   Instagram
ブッククラブ※
通信販売(配送手配)
おむつ替えスペース
授乳スペース
ベビーカーでの入店 お店は靴を脱いで入るので、ベビーカーは入り口横に置きます。店内は赤ちゃんがハイハイしても安心です。
駐車場 3台

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今日の1さつ

推理小説で、怪奇小説で、歴史小説。なんて贅沢な一冊!そしてどの分野においても大満足のため息レベル。一気に読んでしまって、今から次回作を楽しみにしてしまってます。捨松、ヘンリー・フォールズなど実在の人物たちに興味が湧いて好奇心が刺激されています。何よりイカルをはじめとするキャラにまた会いたい!!(読者の方より)

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