「おれたち、ともだち!」絵本(内田麟太郎 作/降矢なな 絵)は、「ともだち」をテーマに、キツネとオオカミの熱き友情を描いたシリーズ。そのなかでも『きになるともだち』は、ちょっと特別なともだちへの気持ち……「恋」を描いた作品です。恋ってどんなもの? はじめて出会う感情に、キツネもオオカミも大混乱!
ヤマネさんが手の上にのった瞬間……それははじまった!
ある日、キツネが小さなヤマネさんをオオカミさんのところに連れてきました。
「こちら、ヤマネさん。しってたよね。」
キツネがオオカミの上に、ヤマネをおろしたとたん……オオカミの目の中に星がぴかぴかとまたたきました。
「も、もちろんであります。ぼくは オオカミで ございます。つまり、その、りっぱな、てえした オオカミで あります」
緊張してか、なんだかがちがちのオオカミさんです。
一方の小さく、ふわふわとかわいいヤマネは、オオカミに短いあいさつをした後、すぐにまた眠りに落ちていきました。
さて、次の日からオオカミのようすがどうもおかしいのです。キツネが声をかけても振り向かず、とろーんとした目つき。舌はだらしなくたれさがっています。と、思えばいきなり大声で歌い出したり、よろよろと川の中に落ちたり。
恋とはいったいどんなもの?
キツネは、オオカミさんの身に一体なにが起こっているのかまったくわからず、とまどう一方です。イノシシやイタチに相談しても、みな首をひねるばかりですが……そこへひとこと、ヘビがいいました。
「こいでございますよ」
「そのひとのことが だれよりも きになる きもちでございますよ。」
恋をまだ知らないキツネ。オオカミさんの様子を思い出してこんなことを思います。
(こいって……。こころが へんに なっちゃうのか……)
心ここにあらずのオオカミさん、最後にはキツネの考えた粋なはからいで、すこしだけ落ち着きを取り戻します。
キツネの友だち思いのやさしさがひかる、シリーズ異色の「恋」の物語です。さあ、この「恋」の行方やいかに!